福山雅治&大泉洋「ラストマン」、木村拓哉「風間公親」が2強! 数字で分かる“期待に応えた”2023年春ドラマはこれだ!!

今回は、2023年4月クールドラマを大検証! 連続ドラマをクールごとに分析する恒例の人気企画だ。関東111万台を超えるレグザ視聴データを基に、TVガイドWebで毎週集計・発表している「地上波録画視聴ランキング」から、4月クールのドラマを振り返る。この春、録画で最も視聴されたドラマは何だったのか?

まずは、4~6月に放送された連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」のベスト30。ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。

非常にくっきりと結果が表れたすがすがしいランキングである。1位から10位までをTBS日曜9時「ラストマン-全盲の捜査官-」の全10話が占めて、まさに完全勝利を果たした。福山雅治が来日した全盲のFBI捜査官に扮(ふん)し、アテンド役の大泉洋とのドリームタッグが実現。永瀬廉、今田美桜、吉田羊、上川隆也、寺尾聰らオールスターキャストが話題を呼んだ。そして続く11位から21位までを占めたのは、フジテレビ月曜9時「風間公親-教場0-」全11話。スペシャルドラマが好評だった木村拓哉主演「教場」「教場Ⅱ」の主人公・風間公親の警察学校赴任前の前日譚だ。こちらも赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太ら、共演陣の豪華な顔ぶれで注目を集めた。スタート前から、話題を二分していた2作品である。

興味深いのは、第1話に限って言えば両者の差はほとんどないのである(「ラストマン」第1話は10位、「風間公親」第1話は12位)。2話以降、「ラストマン」はすべての回で初回の数字を上回り、反対に「風間公親」は第3話を除いてすべて初回を下回った。もちろん「風間公親」も十分高い水準で推移しているし、この両作品が4月クールを代表するドラマだったことには間違いがないが、これまたこんなに明暗が分かれるのも珍しい。

続いて4月クールの「平均録画視聴ランキング」を見ていただこう。ドラマごとに録画視聴ポイントの全話平均を集計したもののベスト20である。

TBSとフジテレビの強さが際立つ。TBSはプライムタイムに放送した3作すべてをベスト5に送り込み、フジテレビもプライムの4作を7位までにランクインさせている。

「ラストマン-全盲の捜査官-」「風間公親-教場0-」に次いで、第3位に入ったのはTBS火曜10時の橋本環奈&山田涼介「王様に捧ぐ薬指」。僅差で4位につけたのが、フジテレビ木曜10時で奈緒主演、岩田剛典、田中みな実、永山瑛太共演の「あなたがしてくれなくても」。おのおののターゲットに大きく支持された話題の2作が上位につけた。そして5位と6位には、「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(TBS系)と「合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~」(フジテレビ系)がほぼ同着で並んでいて、この4作品が4月クールの人気第2グループを形成していると言っていい。

実はこの4作品には共通点があって、4作品とも全話の中で最終回の録画視聴ポイントが一番高い。

上のグラフは、平均値上位10作品のデータ推移のグラフだが、ご覧のように上位ドラマの最終回での伸びが総じて大きい。もともと連続ドラマは初回と最終回のどちらかが最上位に来ることが多いが、上位作品がこれほどそろって最終回に最高値を持ってくるのは珍しい。ちなみに、7位の「わたしのお嫁くん」(フジテレビ系)と10位の「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」(テレビ朝日系)は初回が最高値。「Dr.チョコレート」(日本テレビ系)、「unknown」(テレビ朝日系)は、初回と最終回がほとんど同着で1、2位を分け合っている。これまでも何度かこの「ドラマ検証特集」で言及してきたが、やはり「作品の満足度」は「事前の話題性」に勝るようだ。

ということで「最終回継続率ランキング」を見てみよう。「最終回継続率」とは最終回のポイントを初回ポイントで割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは、という仮説に基づいた検証である。

前述の通り、「ラストマン」含め最終回でポイントを伸ばした「平均録画視聴ランキング」上位のドラマが継続率でもベストテンに並んでいるのだが、トップに日本テレビ金曜深夜の「夫婦が壊れるとき」が飛び込んできていて、これには少し驚いた(稲森いずみ、吉沢悠出演の海外ドラマのリメーク版。今クールでは、ほぼ唯一のドロドロ恋愛系サスペンスであった。吉沢が演じる浮気夫の行動が「クズすぎる」と、SNSで話題になったことも記憶に新しい)。

「夫婦が壊れるとき」の場合、全体の数字が低くて継続率だけが高いわけではない。上の表は午後11:00以降に放送されている「深夜ドラマ」の平均録画視聴ランキングのベスト10だが、日本テレビがベスト3を独占している(「だが、情熱はある」は前半30分がプライムタイムだが)。トップの「勝利の法廷式」(志田未来、風間俊介出演)は総合ランキングで12位。「夫婦が壊れるとき」も16位で悪くない数字である。TBSやフジテレビはプライムドラマと深夜ドラマのすみ分けが顕著だが、日本テレビやテレビ朝日の場合、それほど大きく分けて考えていないということもあるのかもしれない。

こうして見ていくとやはりドラマは面白い。制作数も増えているし、各局とも新たな戦略で攻めてきている。7月クールも話題作がめじろ押しで、目が離せない。さあ、ご一緒に楽しみましょう。

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社

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