警察庁、加害者賠償の実態調査へ 2023年版犯罪被害者白書

警察庁

 加害者に支払い能力がないといった理由で犯罪被害者が損害賠償を受けられないケースがあるため、警察庁が本年度中に加害者からの賠償支払いに関する実態調査を行うことが28日、2023年版犯罪被害者白書で分かった。民事裁判などで賠償が命じられても実効性がないとして、日弁連などから改善を求める意見が出ていた。

 政府は28日、23年版の白書を閣議決定した。

 15年に日弁連が実施した調査では、殺人や殺人未遂、傷害致死といった凶悪犯罪では、約6割の被害者が全く賠償を受けられていないという。原因として民事裁判の判決などで加害者に賠償義務が生じても、支払い能力がなかったり、資産状況が分からず強制執行ができなかったりすることなどが指摘されている。

 警察庁の調査は、20年4月施行の改正民事執行法で、裁判所の命令で銀行などに加害者の財産の情報を提供させる手続きが新設されたことを受けたもの。被害者や遺族を対象に、損害賠償の請求の有無、請求した場合は支払いを受けられているかどうかなどを調べる。

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