渋沢栄一ら実現に尽力 日米親善人形交流を映像で 記録映画 島原で30日上映

米国から届いた「青い目の人形」を抱く渋沢栄一の写真=1927年3月3日、東京・文部省で撮影(渋沢史料館所蔵)

 戦前の1927年、米国人宣教師のシドニー・ギューリックと実業家の渋沢栄一が中心となり、日米友好を願って両国の子どもたちに人形を贈り合った日米親善人形交流。この様子を収めた貴重な記録映画の上映会(島原親善人形の会、島原市教委など主催)が30日午前10時から、長崎県島原市城内1丁目の島原城観光復興記念館で開かれる。記録映画は2016年に米国で発見され、日本での公開は今回で3回目。無料。
 上映会は同市教委の市民文化講座の一環。記録映画の発見に携わった日米親善人形交流研究家の宮崎広和・米ノースウエスタン大教授が講演する。
 同市教委などによると、記録映画は約10分間で、1927年に米国から「青い目の人形」が贈られた際の送別や、日本到着後の歓迎会などが時系列を追って編集されている。当時の文部省が撮影した映像などを基に米国で制作されたとみられ、映像には日本側代表の日本国際児童親善会長を務めていた渋沢栄一が人形をうれしそうに手にする様子も収められている。日本に残っていたフィルムは散逸し、所在不明となっていた。
 記録映画は米シカゴ映像協会が修復し、渋沢史料館(東京)が所蔵している。同史料館の川上恵副館長は「日米親善人形交流に関する映像が残されているのは、渋沢研究の上でも貴重」と語る。渋沢栄一は来年7月発行される新1万円札の肖像となる。
 島原親善人形の会の北田貴子事務局長は「あと4年で、日米親善人形交流から100年。渋沢さんとギューリックさんの足跡をたどり、人形交流の未来を一緒に考えていけたら」と話している。
 上映会では、本県に2体残る「青い目の人形」のうち島原第一小にあるリトル・メリーを展示する。問い合わせは島原市教委社会教育課(電0957.68.5473)。

日本からの答礼人形の歓迎会に参加したシドニー・ギューリック(後列右から2人目)の写真=1927年12月16日、米国シカゴ、ホテル・ラ・ソールで撮影(渋沢史料館所蔵)

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