アイルランドの女性歌手が死去、56歳 昨年、17歳息子を失う「あれから抜け殻の夜行生物として生きている」

アイルランドを代表する歌手シネイド・オコナーさんが死去した。56歳だった。1990年リリースのシングル『愛の哀しみ』の大ヒットで知られるダブリン出身のシンガー。遺族が、シネイドさんの旅立ちを発表している。

「深い悲しみと共に、私たちが愛するシネイドがこの世を去ったことをお知らせします。悲嘆にくれている家族と友人のため、プライバシーへの配慮をよろしくお願いします」

2018年にイスラム改宗を機に本名をシュハダ・サダカットに改名。昨年は病院で監視下にあった17歳の息子シェーンさんが逃げ出し自殺する悲劇に見舞われていた。最後のツイッター投稿はシェーンさんの写真でこう綴られていた。「あれから抜け殻の夜行生物として生きている。彼は私の最愛の人、私の魂の灯だった」「2つに別れた1つの魂だった。彼は私を無条件で愛した唯一の人だった。彼を失った私は中陰で彷徨っている」

生涯で10枚のスタジオアルバムをリリース、プリンスが書いた『愛の哀しみ』は1990年のナンバー1シングルとしてビルボード・ミュージック・アワードを受賞していた。同曲が収録されたセカンドアルバム『蒼い囁き』は世界で700万枚を売り上げている。

一方ここ数年は、シネイドは音楽活動よりも、メンタルヘルスとの闘いで話題となっていた。2017年には自身の自殺願望の気持ちを語った動画を投稿。「メンタルの病気、それはドラッグのよう。あなたが何者かなんてお構いなし。更に悪いことにその烙印もあなたが何者かなんて構いもしない」と話していた。この動画の公開後、シネイドの広報は声明を発表、本人は自殺を望んでいるわけではなく、最高の治療を受けていると説明していた。

一方今年始めにはアイルランドの音楽の祭典、RTEチョイス・ミュージック・アワードで『蒼い囁き』が初のクラシック・アイリッシュ・アルバム賞を受賞、シネイドはこの名誉を、同国の難民コミュニティの全てのメンバーに捧げるとしていた。

(BANG Media International/よろず~ニュース)

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