近藤真彦ライブリポ②還暦まであと1年「マイペースで突っ走っていきたい」

歌手・近藤真彦のバースデーライブ「Masahiko Kondo Birthday Live2023【RAIN or SHINE】-どんなことがあっても…-」が誕生日当日の7月19日から7月21日までの3日間、かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール(東京都・葛飾区)で行われた。entax取材班は、ライブの初日の模様を独自にリポート。2回目をお送りする。

■夏にぴったりのナンバーを集めた、レアなセットリストでファンを魅了

近藤真彦の誕生日当日に会場に集まったオーディエンスは、当然コアファンが多い。そのためあえてヒット曲連発のライブではなく、アルバム曲も含めた、この季節にぴったりの涼し気な夏のナンバーを集めたセットリストを用意したという。SNSでも「なかなか聴けない曲を聴くことができて感激」といった声も上がっていた。

さらに演奏はいつものバンドにストリングスメンバーも加わった豪華な編成に。ライブの途中でスタジオリハーサルの様子も流れたが、バンドメンバーは総勢28人だったそうだ。実際にライブで直接音を体感すると、バイオリン、チェロ、ビオラといった楽器が加わることで、楽曲の深みがより増していった印象を受けた。

■マッチのサポーターは昔から強さが変わらない

夏の楽曲が盛りだくさんということで、MCも自然とそちらの話題に。
「夏らしい歌をたくさん聴いていただきましたけれど、暑いね。夏っていうと、やっぱりあれですか。夏休み。子どもの頃を思い出しますよね。皆さんも子どもの頃の夏休みといえば、すっかり日焼けして、真っ黒になって。カブトムシを取りにいったり」と自らの思い出を語ったのかと思えば、「僕は、夏休みは外にあまり出ないので」と信憑性のまったくない話をする。当然、オーディエンスからは「えー!」と疑いの声が上がった。「出る時はずっと日焼け止め塗って」と話を続けつつ、近藤は「ないない」と自分でつっこむ。

「暑いですね。まだいいですよ。(お客さんは)薄着なんで。でもこれは暑いんです」と自らが着ているスーツを指す。客席は「脱いでー!」と盛り上がり、「脱いで脱いでって、ちょっと!」と、今度はファンにつっこみを入れる。

そして満杯になった会場を見渡して、「いい景色だなあ」とつぶやいた。「本当にいつもたくさんの方が見にきてくれて、感謝の限りでございます。……信用してない?」という問いかけに苦笑いするオーディエンス。会場にはコアなファンが多いためか、「めっちゃやりにくい」などと言いつつ遠慮なく自分の気持を語る。自分を支え続けてくれた人たちの前だからこそ、よりナチュラルでいられるのだろう。

またライブ中盤で2023年のこれまでの活動をまとめた映像が流された時のMCでも、ファンとの和やかなやり取りが行われた。

「日本レースプロモーションの会長に就任しました。いろいろなスポーツの場面に顔を出したりして忙しくしているんですけれども、この前、フロンターレのサポーターたちを見て。サッカーの選手は90分ピッチで走りっぱなしです。見ていたら、やっぱり点数を入れる時って、サポーターが『うおー!』と盛り上げるの。盛り上げたら選手もそれに乗って、いいプレイをする。これはコンサートもそうじゃないかと」と、自らの活動を振り返って、会場からも熱い拍手が起きた。

「今日マスコミの皆さんに『僕のファンの方はすごい。43年も僕のことを応援してくれている』と伝えておきました」と告げる。その言葉に、ちょっとやそっとでは離れないファンとの絆に対する自信を感じた。

一方で「あの90分間やった選手が、ファンの前に行って、『どうもありがとう』ってサインして、やっぱりすごいのよ。ただサポーターの人たちは、すごくお行儀がいい。分かるでしょう? 言っていること」。「マッチのサポーターの方は、お行儀がいい」と言いながらも「2階にも来て~」という声に対しては「俺が今、2階に行けると思いますか? そこ通って?」と尋ねるが、逆に「来て~!」と歓声が上がる。

「ちょっと待って、昔から変わらないよね。その、なんか押しが。本来は今日は客席に降りて、1曲歌うつもりだったんですよ」という言葉に「ええ~」とファンから残念そうな声が出た。「でもうちらのファンの人の勢いで、怖くなりました」。会場がザワザワとなって「聞いて! 今日、誰の誕生日?」と改めて問いかけると、オーディエンスは「マッチ―!」と一斉に答える。「ね、誕生日を祝ってもらう側よ。本当は。自分の誕生日に、ファンの人たちに、これだけのことをしていて」と切実に語り、オーディエンスは口々に「ありがとー!」と叫んだ。

■「秋からのコンサートはすごいよ」と次の楽しみも提示

MCで「オープニングで話しましたけれどね、還暦、どうする?」と客席に問いかける。
「さっきも新聞社の方と話をしていて、『どうですか、還暦は? どんな気持ちですか?』『いやまだ、1年あるので。1年突っ走るしかないんじゃないの』」といったやり取りがあったことを明かす。
「今日のステージは59歳のバースデーですけれど、いろいろとトレーニングとか体力とか、どうなんですか?』と。『いや、ないの。だからストイックとか書かないでくださいね。僕の嫌いな言葉はストイックです。ストイックはつらいですね。僕はこのままマイペースで、残りの1パーセントでコンサートを1年続けていきます」と1年のビジョンを語る。

そして近藤は野村がステージにいながら話を振らなかったことに気づき、「ヨッちゃん」と声をかける。野村は「俺、すねているよ、今。しゃべらせないし、さっき『発表します』とかって言っていたじゃん。発表したのはディナーショーでしょう? 『MasahikoとYoshio』(2021年より行っているライブ)かと思っていたもん」と訴えると、近藤は「そんなこともありましたね」と変わらぬ軽快なやり取りを行って、オーディエンスを楽しませた。

「でも還暦ダッシュの秋からのコンサートは、すごいよ。いや、マジで」と近藤が力説。それに対して野村は「すごいっていうのはいろいろな意味があるんだけれど、どんなすごいのかを知りたいんだけれど」とファンの気持を代弁してくれた。「分析しなくてもいいと思うけど」と流そうとする近藤に「軽く聞いてみたいなと思って。そのすごいに、僕が入っているのか、入ってないかも知らないし」と野村は食いつく。最終的にそれは今後の楽しみということで言及されなかったが、50代最後の年に対する近藤の熱い思いを感じ取ることができた。

近藤真彦は、これからも全速力で駆け抜けていく。

【近藤真彦Profile】
1964年生まれ。神奈川県出身。1979年TBSのテレビドラマ『3年B組金八先生』の生徒・星野清役でデビュー。1980年『スニーカーぶる~す』でソロ歌手としてデビュー。1987年には『愚か者』で第29回日本レコード大賞を受賞した。レーサーとしても活躍し、2000年からレーシングチームの監督兼代表取締役社長を務める。

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