【MLB】エンゼルスの大谷キープ&買いトレードには賛否両論?

写真:史上最高額契約を確実視される大谷翔平©Getty Images

日本時間27日に大谷翔平をトレードしない方針が明らかになり、市場の目玉の1人だった先発投手のルーカス・ジオリトとリリーバーのレイナルド・ロペスらをホワイトソックスから獲得するなど、1日の内に急展開を迎えたエンゼルス。
デッドラインまで6日を残した中での大胆なこの決断には賛否両論が集まっている。

「この戦略は一言で言えばリスキーだ。信じられないほどに」とエンゼルスの決断に懐疑的な見解を示しているのが、『ジ・アスレチック』でエンゼルスの番記者を務めるサム・ブラム記者だ。

ブラム記者が指摘するのは、デッドラインまでにおよそ1週間を残した中で動いたことのリスクである。

エンゼルスはタイガースとの3連戦を終えたあと、ワイルドカードを共に争うブルージェイズとの3連戦に突入し、その後にはメジャー最高勝率を誇るブレーブスとアウェイで対戦する。

最高のシナリオでは、現在ワイルドカード3位のブルージェイズとの直接対決にスイープすることができれば、エンゼルスはプレーオフ圏内に浮上することができる

しかし、最悪のシナリオではエンゼルスは8/1までにプレーオフ圏内から9ゲーム離されている可能性もある。

最悪のシナリオに陥った場合、エンゼルスが失うものは計り知れない。

エンゼルスは大谷翔平を有望株のためにトレードすることができないどころか、ジオリトの獲得のために既に球団No.2とNo.3の有望株を失ってしまっている。将来に暗雲が立ち込めることは必至だろう。

「これはモレノ(オーナー)の決断だと信じるのが一番だ」とブラム記者は、これまで効果的な補強でチームを作り上げてきたミナシアンGMの決断とは考えにくいという見解を示している。

確かにこの決断にはモレノオーナーの意向も大きく反映されているに違いない。モレノオーナーが大谷をトレードしたがらないという可能性は、大谷トレードの噂が囁かれている間でもずっと指摘されていることだった。

モレノオーナーを含めたフロントがオールスター後のチーム状態にも励まされ、大谷をトレードしない(そして買い手に回る)ことを決断したならば、デッドライン前の重要な数試合を試金石とするのではなく、プレーオフ進出のために補強を加えたチームで戦うのは理に適っている。

同じ『ジ・アスレチック』の記者で球界きっての有望株通のキース・ロー記者は「大谷をトレードすることで(将来的に)より強力なコンテンダーを構築するための若いピースを獲得することができる。私は通常そう主張する人間だが、今回は違う」とエンゼルスの決断を支持。

現時点でも『ファングラフス』におけるエンゼルスのプレーオフ進出確率は22%に過ぎないが、エンゼルスは2015年以来で最大のチャンスを迎えている。

そしてそれは大谷翔平という球界最高のスターのFAイヤーでもあり、エンゼルスにとっては今後しばらくないチャンスなのかもしれないのだ。

ジオリトを獲得したトレードはエンゼルスの払いすぎという意見が多い中、ロー記者も「ホワイトソックスが机上ではこのトレードに勝つことになるとしても」としている。

しかし、「もし、このトレードでプレーオフのシリーズを1つでも勝ち取ることができれば、長い低迷期とMLB史上最高の選手2人のピークを無駄にしたことを考えれば、それだけの価値がある」とこのトレードを評価した。

文字通り今シーズンにオールインすることとなったエンゼルス。悲願のプレーオフ進出はなるだろうか。

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