観音菩薩の魅力と信仰の歴史紹介 岡山県立博物館で特別展開幕

岡山市・法界院の「聖観音菩薩立像」(右)を鑑賞する入場者

 中国5県の37寺で構成する中国観音霊場に伝わる秘蔵の観音菩薩(ぼさつ)像や法具、書画などを紹介する特別展「慈悲のほとけ―観音と古寺の名宝―」(山陽新聞社など共催)が28日、岡山市北区後楽園の岡山県立博物館で開幕した。国重要文化財15件を含む約50件に、歴史ファンらが見入っていた。

 観音菩薩は、さまざまな困難から人々を救う存在として信仰を集め、全国各地に観音霊場が設けられた。同展では開館50周年を記念し、岡山県を中心とした20寺の寺宝を一堂に展観。観音菩薩の魅力と郷土における信仰の歴史を伝えている。

 33年に一度だけ開帳される国重文「聖観音菩薩立像」(岡山市北区、法界院蔵)や、11の顔があらゆる方角に目を向ける岡山県重文「十一面観音菩薩立像」(瀬戸内市、餘慶寺蔵)は、優美な姿で入場者を魅了。中国の唐~宋時代の作とされる法具の国重文「五鈷鈴(ごこれい)」(尾道市、西國寺蔵)なども注目を集めていた。

 友人と訪れた女性(85)=岡山市中区=は「観音さまのぬくもりに心が和んだ。特に法界院の秘仏のしなやかな姿が美しかったですね」と話していた。

 9月3日まで、月曜休館。8月5日午後1時半から、石川知彦・龍谷ミュージアム副館長による記念講演会を行う。先着100人、要予約。問い合わせは同館(086―272―1149)。

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