「沼に入っているような感覚」 賞金王・比嘉一貴の苦悩

気合いが空回りしてしまう(撮影/今井暖)

◇国内メジャー◇日本プロゴルフ選手権 2日目(28日)◇恵庭CC(北海道)◇7441yd(パー72)◇晴れ(観衆831人)

前年の賞金王・比嘉一貴が苦戦している。主戦場を欧州ツアーに移した今季。初戦の「ラアス・アル=ハイマ選手権」を36位で終えると、2週後の「タイクラシック」は11位、続く「ヒーローインディアンオープン」では4位に入り「なんとか行けるかな、っていう手応えはあった」と順調に滑り出した。

歯車が狂いだしたのは4月の「マスターズ」の時期だった。「良い結果を求めすぎていたのか、自分のゴルフを見失うようなプレーが多くなった」。選手層の厚いフィールドや、タフなコースに立ち向かうために入れた気合いが空回りすることが多くなり、それが癖になりつつあるという。「去年まではできていたようなスコアメークだったりの部分が苦しくなってきた。今の調子がめちゃくちゃ悪いとか、(ショットが)めちゃくちゃ曲がっているわけではないけど…」

苦しい期間が続いている(撮影/今井暖)

攻めと守り。ショットの前に気持ちを決めきれず、中途半端なまま打ってしまうことも多くなっているという。「覚悟を持ってワンショット、ワンショット打っているつもりだけど、どこかでミスのイメージを引きずっているような感じがして、なかなか気持ちよく振れていない」と頭を抱える。

「結果の出ない悪い流れがこんなに続くことが、僕のゴルフ人生の中で初めて。今までが割と順調すぎたのか、うまくトントンと来ていたので…。少し“沼”に入っているような、そういう感覚ですね」と重い口調で打ち明けた。

欧州での生活が長くなり、去年よりもゴルフと向き合う時間が長くなったからこその悩みでもある。「長すぎるとちょっと…。でも、松山(英樹)さんなんて24時間ゴルフのことを考えている感じですよね。僕もプロなので、ゴルフから離れることはないんですけど…」と、ちょうどいい“距離感”を測っている最中だ。

光を探して必死にもがく(撮影/今井暖)

初日5オーバー111位からの巻き返しを狙って臨んだこの日は、12番(パー5)でバーディが先行したが、15番でボギーをたたいて波に乗り切れず。3バーディ、3ボギー「72」と伸ばせず、通算5オーバーで予選落ちを喫した。

来週の「横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~」にも出場予定で、今季初の国内ツアー2連戦となる。「壁に直面しているのは感じているけど、これを乗り越えたらちゃんと強くなれると信じてやるしかない。今はふがいないプレーばかりだけど、一皮も二皮もむけて帰ってきたい」。光明を求めて、必死にもがき続ける。(北海道恵庭市/内山孝志朗)

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