小松の小さな酒蔵、海外進出加速 台湾、シンガポールに

海外への販売を加速する西出代表=小松市下粟津町

 小松市下粟津町の西出酒造が8月に台湾、9月にシンガポールで販売促進に乗り出す。コロナ禍で中断していた海外進出活動を再開し、小松の小さな酒蔵の味を世界に伝え、ファン獲得を目指す。

 同社は年間出荷量約1万4000リットルのうち、2割近くの2600リットルを海外へ出荷している。売上高でみると、海外が全体の3分の1を占める。2017年の米国を皮切りに、18年に中国やフランスへ輸出を始め、その後はメキシコやペルー、香港、ポルトガルでも取り扱いが始まった。

 西出酒造は1913年創業で、96年に一度経営権が譲渡されたものの、創業者のひ孫である西出裕恒さん(41)が2014年に経営権を再び譲り受け、創業当時の社名に戻した。

 名工の下で酒造りを修業し、代表社員兼杜氏(とうじ)として奮闘する西出さんは、各国の好みに応じた酒の出荷を心掛けている。台湾向けには地場フルーツの酒造りも考える若き杜氏は「日本食の広まりとともに日本酒も世界に広まっている。小さな酒蔵だからこそできる酒造りがある」と意気込んだ。

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