彫刻と光の共演堪能 井波別院瑞泉寺

前川三四郎作の雲水龍の木彫刻を解説する井波彫刻師=南砺市の井波別院瑞泉寺

  ●ナイトミュージアム住民に公開 

 井波別院瑞泉寺(南砺市、真宗大谷派)の木彫刻をライトアップして井波彫刻師が解説するガイドツアー「ナイトミュージアム」が28日夜、住民を対象に行われた。大手旅行業者に商品化を働き掛ける目玉企画で約60人が参加。一行は彫刻群と光の共演を堪能するとともに、日本遺産「木彫刻美術館・井波」の原点である瑞泉寺の歴史と彫刻の技に理解を深めた。

 ツアーは、瑞泉寺と同寺未来継承推進委員会が開いたイベント「鼎談(ていだん)&ナイトミュージアム」(富山新聞社後援)の一環として実施された。

 井波彫刻が随所に施された本堂、太子堂、山門、式台門を約1時間かけて回るコースで、井波彫刻協同組合(南砺市)の花嶋弘一理事長と野村光雄企画・会館管理部長、前川大地理事が案内役を務めた。ポイントとなる彫刻には、富山県の助成を得て導入したライト17基で光が当てられた。

  ●鼎談「地域の宝に誇りを」

 花嶋理事長は「境内の彫刻は高く暗い場所にあり、日中は周囲が明るいため見えにくい」と、夜間に彫刻を照らして鑑賞する利点を説明。野村部長は、江戸中期に京都・東本願寺の御用彫刻師・前川三四郎から技を伝授されたことが井波彫刻の発祥だと紹介し、山門にある前川三四郎作の雲水龍を示して「井波彫刻師を志した人は必ず見に来た」と語った。

 このほか獅子や仙人、バク、鳳凰(ほうおう)、クジャクなどの木彫がライトアップされ、井波彫刻師が懐中電灯で他の彫刻も照らしながら説明した。

 井波彫刻師によるガイドツアーは今春、東本願寺でも開催・動画化されて好評となっていた。

 本堂での鼎談には約100人が参加し、未来継承推進委員会の島田勝由会長が「地域の宝である瑞泉寺に誇りを持ち、活力と魅力あるふるさとづくりにつなげたい」とあいさつした。

 「瑞泉寺太子堂はスゴイ」などの著書がある南砺市文化財保護審議会の長谷川総一郎会長、金沢工大の山崎幹泰教授、井波日本遺産推進協議会の三谷直樹会長が登壇し、寺の未来について語り合った。

鼎談であいさつする島田会長(左)

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