観光や農業、多分野連携 茨城県と越ロンアン省 共同声明

共同声明を出す大井川和彦知事(中央左)とグエン・ヴァン・ウット委員長(同右)=ベトナム・ロンアン省(県提供)

茨城県の大井川和彦知事は28日、訪問先のベトナムで、労働分野で協力関係を結ぶ同国南部の都市ロンアン省と貿易、観光、農業など幅広い分野で連携を進める共同声明を発表した。輸出や観光誘客など県が海外展開に力を入れる中、経済発展や人材育成の推進を目指す。県が海外の地域と共同声明を出すのは初めて。

大井川知事と同省人民委員会のグエン・ヴァン・ウット委員長が会談し、共同声明に署名した。声明では投資、貿易、観光、農業、教育、文化など、さまざまな分野で協力関係の構築推進を確認した。

すでに協力関係にある労働分野でも、新たな人材育成プログラムを共同開発するなど連携強化を掲げた。2022年度から茨城県への技能実習生の受け入れを進めている介護人材にとどまらず、今後は製造分野の人材育成なども視野に入れる。

各分野に関連する行政部署間の交流も深める。声明で触れていない分野についても「友好的に協議を進める」として、広く連携を図る方針を盛り込んだ。

県は19年11月に外国人労働者の受け入れ拡大を目指し、同省と人材育成などに関する覚書を結び、協力関係を築いてきた。大井川知事は「茨城県は企業誘致や県産品の海外展開、インバウンド誘客などに力を入れている。双方のポテンシャルが最大限発揮されるような協力関係を目指し、交流を進めたい」と話した。

大井川知事は27~29日の3日間、同省の招待で日越外交関係樹立50周年記念イベント出席のため同国を訪問している。28日には会談のほか、同省の投資促進会議などにも出席した。

同省の人口は170万人で、特産のドラゴンフルーツやコメは国内2位の生産量となるなど農業の一大産地。最大都市ホーチミンに隣接し、約100カ所に上る工業団地と産業用地を備えるほか、日系企業132社が進出している。

大井川知事は本年度の所信表明で「トップギアでグローバルに打って出る」として、海外向けを含めた観光キャンペーンや農水産物のブランド強化、輸出振興などに重点を置いた本年度予算を編成。コロナ後の経済活動再開を見据え、海外展開を強める考えを示している。

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