災害級の猛暑は10月まで。今こそ見直すべき、住宅の断熱性能

 コロナが明け、制限のない夏がようやく訪れた。ところが、今度はそんな開放的な気持ちも萎えさせて、家の中に自ら閉じこもりたくなるほどの厳しい猛暑日が続いている。気象庁の予報では、この災害級の暑さは10月まで長引きそうだという。降水量も平年よりも多くなりそうで、特に9月は台風を伴った大雨に注意が必要だと呼び掛けている。

 厳しい暑さが続くと熱中症もさることながら、電気代も心配だ。原油価格の高騰やウクライナ情勢などの様々な要因から電気料金が高騰し続けており、家計を直撃している。命にもかかわる問題なので、暑い時には我慢せずにエアコンを使用するようにしてほしいが、躊躇してしまう人も多いのではないだろうか。

 各メディアやネット上でも数多くの節電対策が紹介されているが、その場しのぎの節電だけでは、電気代の高騰分を吸収しきれていないのが現状のようだ。また、気象庁の観測では、6月から8月にかけての日本の平均気温は、この100年間で約1.5℃、都心部ではヒートアイランドの影響等で約3℃上昇している地域もあるという。今夏だけでなく、来年以降の猛暑まで想定した継続的な対策を考えておくべきだろう。

 そんな中、住宅市場では断熱性能の高い省エネ住宅への注目が高まっている。

 政府も断熱性能を高める施策に注力しており、2022年4月に新たな断熱基準として「断熱等級5」を新設、さらに10月には「断熱等級7」を加えた。しかし、「断熱等級 7」を実現するためには追加費用と構造負荷が大きくなってしまうことが課題となっている。

 住宅メーカー各社も、それぞれ独自の技術を駆使して「断熱等級 7」の住宅開発に取り組んでいるが、これを建築できる会社はまだ限られているのが現状のようだ。

 例えば、AQグループの注文住宅ブランド「AQURA HOME(アキュラホーム)」では、オリジナル耐力壁「8トン壁」などを使用することで高い耐力と高い断熱気密性を両立した「断熱等級7」の新商品「剛木造超断熱の家プレミアム」の開発に成功している。「断熱等級7」の断熱性能により、リビング吹抜にオープン階段を設けた開放的な大空間を実現し、エアコン一台で一年中快適かつ、光熱費を抑えた暮らしを提供している。

 すでに全棟「断熱等級5」、9割が「断熱等級6」をクリアしている一条工務店でも、ドアや窓、サッシなどをグレードアップすることで「断熱等級7」の住宅を提案、またダイワハウスの木造xevoGranWood(ウルトラW断熱仕様)は、長年培った鉄骨住宅の技術を用いた新しい木の家で、天井・外壁・床を高性能の断熱材で隙間なく包み込み、窓まわりにも断熱対策を施すことで、住まい全体の高断熱化を実現している。

 既存の住宅でも、リフォームなどで断熱性を高めることは可能だ。当然、費用は掛かるが、夏季だけでなく冬季の省エネ効果も高まるし、長期的な視点で考えれば、検討の余地は充分あるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

住宅市場では断熱性能の高い省エネ住宅への注目が高まっている

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