フォードが3台目のレーシング・マスタングを発表。ワンメイクレース専用車、その名は“ダークホースR”

 7月27日、フォード・パフォーマンスは、来季2024年から新たに開催されるシングルメイクレース、マスタング・チャレンジ・シリーズに使用されるターンキー(引き渡し後すぐに乗れる)レースカー『フォード・マスタング・ダークホースR』を初公開した。

 Sportscar365が以前報じたように、フォードはマスタングを用いるIMSA公認のワンメイクレースを立ち上げる予定だ。この新シリーズでは、北米のスポーツカーレースと併催される5~6戦と合わせて10~12戦のレースカレンダーが組まれることが計画されている。また同シリーズでは、すべてのマシンがマスタング・チャレンジのために開発されたミシュラン製のレーシングタイヤを履いてレースに出場することになっている。

「マスタング・ダークホースRのオーナーは、世界でもっとも素晴らしいサーキットで、他のマスタング・エンスージアスト(愛好家)とともにレースに出場し、そのドライビングスキルを試す機会を得ることになる」と語るのは、フォード・パフォーマンス・モータースポーツのグローバルディレクターであるマーク・ラッシュブルック。

 フォード・パフォーマンス・レーシング・スクールが運営するIMSA公認シリーズの各ラウンドは、2回の練習走行と1回の予選、2回のスプリントレースで構成される。さらに各レースの上位入賞者には賞金が用意され、シーズン終了時にはシリーズ総合チャンピオンも決定されることとなる。

今夏発売開始予定のフォード・マスタング“ダークホース”のロードカー(左)と、7月27日に初公開されたサーキット専用車のマスタング・ダークホースR(右)

 IMSAのジョン・ドゥーナン代表は「新しいマスタング・チャレンジ・シリーズは、我々のIMSAファミリーに完璧に加わるものであり、この素晴らしい新プラットフォームの統括団体として我々を信頼してくれた長年のパートナーであるフォードには感謝しているよ」と語り、マスタング・チャレンジを歓迎した。

「私が子どものころにサーキットで見たたくさんのマスタングのレーシングカーや、そのV8エンジンの力強さは今でも鮮明に覚えている。ダークホースRがIMSAのレースの週末にターン1に飛び込んでいくのを想像すると、当時の思い出が甦り荘厳な光景を思い出すだろう」

 第4世代の新型5.0リットル・コヨーテV型8気筒エンジンを搭載したワンメイクシリーズの専用のマシンは、すでに公開済みのフォード・マスタングGT3、同マスタングGT4と並び、この夏に発売される市販モデル“ダークホース”をベース車両とする3番目のカスタマー・レーシングカーだ。

 ラッシュブルックは「マスタング・ダークホースRは、ダークホース(ロードカー)とマスタングGT3、GT4との橋渡しになるんだ」と述べた。

「ダークホースRは、我々の情熱的なユーザーに手に入れやすいファクトリー製のレーシングカーを提供するだけでなく、他のマスタング・エンスージアストと競い合うレーシング・エクスペリエンスも提供する」

 7月最後の木曜日に初公開されたこのクルマは、サーキット走行専用車として設計されているが、ロードゴーイングカーといくつかのコンポーネントを共有している。具体的には、フラットロック組立工場製のボディや500馬力以上を誇る5.0リットルV8エンジン、トレメック製3160マニュアルトランスミッション、ファイナルギアレシオ3.73のトルセンLSD、その他エアロパーツやブレンボ製リヤブレーキキャリパーなどだ。

 気になる『フォード・マスタング・ダークホースR』の価格は14万5000ドル(約2040万円)から。今後2024年のマスタング・チャレンジ・シリーズの新規開幕に向け、デリバリーが開始される予定だ。

「マスタング・ダークホースRは、ダークホース(市販車)とマスタングGT3、GT4との橋渡しになる」とラッシュブルック
トラックデーマシンのマスタング・ダークホースR。2024年にスタートする新シリーズでの使用タイヤは、ミシュラン製のワンメイクとなる予定だ。

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