中国発着クルーズ船 3年半ぶり佐世保寄港 本格再開見据え誘致強化へ

寄港した「ザオ・シャン・イ・ドン」=佐世保港三浦岸壁

 中国からのクルーズ船が28日、約3年半ぶりに佐世保に寄港した。佐世保に寄港するクルーズ船の大半を中国発着が占めていたが、新型コロナウイルスの影響で途絶えていた。関係者は観光業回復に向けて本格再開を期待している。
 寄港したのは「ザオ・シャン・イ・ドン」(4万8千トン)。16日に上海を出発し、14泊15日の行程で日本各地を回っている。28日は田中英隆副市長らがセレモニーに出席し、寄港を歓迎。中国人の乗客約400人の多くは大型バスに乗り込み九十九島パールシーリゾートやハウステンボスの観光に向けて出発した。
 市港湾部によると、中国発着クルーズ船の寄港は新型コロナ拡大前の2020年1月25日の「コスタ・アトランチカ」が最後。佐世保は地理的な近さから中国発着の割合が高く、17年は寄港した84隻のうち95%に当たる80隻に上った。過去最多の108隻が寄港した18年は94隻(87%)を占め、クルーズで来た中国人は約22万人。日本人(約6千人)、欧米人ら(約7600人)と比べて突出して多く、観光消費額の増加をけん引していた。新型コロナ禍前の水準への回復を期待する声は大きく、市港湾部は「中国発着クルーズの本格再開に向けた第一歩」と捉えている。
 国際クルーズ船の受け入れが再開した3月以降、佐世保に寄港した国際クルーズ船は4隻目。世界的に知名度が高い長崎や鹿児島への寄港は7月末までに40隻台に上り、大きく水をあけられている。市は国際クルーズ船の本格再開を見据え、約1700万円を予算化して誘致活動を強化していく方針。「関係部署と連携して観光客が周遊できる仕組みを考えていきたい」としている。


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