諫早で戦争・被爆体験講話会 入市被爆の井石さんら 自分にできる行動を

被爆体験を語る井石さん(右)=諫早市民センター

 8月9日の長崎原爆の日を前に、子どもたちに平和の尊さについて考えてもらおうと、諫早市は27日、諫早市民センター(東小路町)で「戦争・被爆体験講話会」を開いた。長崎で入市被爆した井石昭子さん(79)=堂崎町=が体験を語ったほか、長崎市の市民団体「ピースバトン・ナガサキ」の調仁美代表らが被爆漫画家、西山進さん=故人=の体験を描いた紙芝居を朗読するなどして被爆の実相、平和への思いを伝えた。
 コロナ禍の影響で対面での開催は4年ぶり。市内二つの学童クラブから児童約70人が参加した。
 井石さんは、爆心地から1.1キロの長崎市油木町にあった市立商業学校(今の市立長崎商業高)の教諭だった父・小泉政利さん=故人=から聞いた話や、幼いころの記憶などを基に講話。学校運動場そばで防空壕(ごう)を掘っている時に被爆した政利さんが意識を取り戻すと逃げ遅れた生徒たちがあちこちに倒れ、大やけどで全身の皮ふを垂れ下げたまま水を求める生徒たちの声が生涯耳から離れなかったという証言などを語り聞かせた。
 井石さんは「戦争はいつ起きるか分からず、平和と背中合わせ。相手を思いやる気持ちがあれば、皆さんの周りでいじめはなくなるし、戦争もなくなる」と語り、平和のため自分にできる行動を呼びかけた。
 諫早市立北諫早小6年の後藤晴凪(せな)君(12)は「戦争や原爆は絶対に経験したくない。被爆した人の平和への思いを伝えていきたい」と話した。

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