新型コロナ 貸与医療機器戻らず 自宅療養のパルスオキシメーター 茨城県や水戸市「早く返却を」

500台近くが未返却となっているパルスオキシメーター

新型コロナウイルスに感染し、自宅療養する人に県や水戸市が貸与していた医療機器「パルスオキシメーター」計500台近くが返却されていないことが28日、県や同市への取材で分かった。機器の中には一つ1万円ぐらいで購入したものもあるという。貸し出し事業は今年5月、感染症法上の5類移行に伴い終了しており、県や同市は早期返却を呼びかけている。

パルスオキシメーターは、装置の中に指先を入れ、血液中の酸素飽和度を測る医療機器。コロナ禍に自宅療養中の容体急変が全国で相次いだ際、細やかな健康観察につなげようと、自治体などが購入や貸与を進めていた。県や同市は、5月8日の5類移行を踏まえて貸し出し事業を終えた。

県感染症対策課によると、県はこれまでに約1万6200台を貸与。貸し出す際は、料金後納の返却用封筒を添えていた。療養後に返却がない場合は、職員による電話や郵送通知で促してきたが、全体の約3%に当たる450台がまだ戻っていないという。現在は県ホームページや県保健医療部のツイッターなどでも周知している。

購入時の価格は1台当たり3千円前後から。機器の需要増で品薄だった時期には高値でも購入して貸与しており、中には購入価格が1万円前後に上ったものがあるという。

水戸市保健所によると、市では県や市医師会から借り受けた計182台を管理し、延べ886回貸与。現在は全体の約21%に当たる39台が返却されていない。主に電話で返却を促しているものの、借り手からは「もう返したはず」「見当たらない」といった返答があったり、返却を約束しながら長期間返却しなかったりしたケースもあるという。

県は今後、医療機関や高齢者施設などへ同機器の譲渡を検討。未返却者に対し「早急に返却を」と呼びかける。

同保健所は、借り受けた機器を返却する責任があるとして「どうしても返却してほしい」と強調。未返却が続く場合は「別の手だても考える必要がある」と話した。

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