【部活どうなる(12)地域スポーツクラブ】誰でも気軽に…活動は盛況 それでも部活動「受け皿」は厳しく

浦和スポーツクラブが開く星空スポーツ広場でバドミントンを楽しむ中学生ら=昨年12月、埼玉県さいたま市浦和区の県立浦和高校

 昨年12月下旬の週末、とうに日も暮れて底冷えのする午後7時すぎ、埼玉県さいたま市浦和区の県立浦和高校に、人々が集合してきた。体育館では中学生を中心に約20人がバドミントン、校庭では小学生女児から60代男性まで約30人が一緒にサッカーをする。受付に置かれた缶の中に、皆が100円玉を投げ入れていく。

 「基本、誰でも来ていい。来ても来なくても自由」。そう話すのはNPO法人浦和スポーツクラブ理事長の小野崎研郎さん。ここは同クラブが2007年から週末の夜に開催する「星空スポーツ広場」。浦和高校の施設を借り、会員に限らず1回100~300円の参加費を集めて気軽にスポーツを楽しむ。

 クラブの飯高一郎コーチは、「市内にはクラブチームがたくさんあるが、初心者に教えてくれる場が少ない。サポートしながらバドミントンが楽しいなと思ってもらえれば」と活動の意図を説明する。小野崎さんによると、中学校では体育館を他の部活と共有する上、どうしても上級生が優先されるため、1年生の練習機会が限られる。

 よく参加する市立本太中2年の男子生徒は「いろいろな人と関われる。うまい人とも初めての人ともできる」、同1年の男子生徒は「学校ではあまり打てない。試合がたくさんできて楽しい」と喜ぶ。

 浦和スポーツクラブは県内の総合型地域スポーツクラブのはしりとして1991年に設立。コロナ禍前は会員約千人を抱え、主に会費を収入源として年間2~4千万円の予算で運営してきた。中学校との連携ではこれまでに、新1年生を対象にバドミントンの基礎を教える「ファーストステップ講習」、部活時間外に学校で専門の指導者が教える「チャレンジクラブ」などを行ってきた。

 県スポーツ協会によると、県内の総合型地域スポーツクラブは今年1月時点で95クラブ。昨年4月から全国で始まった登録認証制度には、うち28クラブが登録した。総合型は地域移行の受け皿の一つとして期待されている。

 一方、小野崎さんは「受け皿になり得るかというと大変。今のままでは厳しい」と話す。複数種目を置くクラブは少なく、自分たちのクラブの運営で手いっぱい。新たに職員や指導者を雇って部活を回していくのは容易ではない。「地域の団体を再編、再集合しないとうまくいかない」と指摘する。

 それには学校や公共施設の開放が鍵になると、小野崎さんは言う。「部活だけをどうにかしようとしても難しい。地域で子どもがスポーツを続ける環境をつくろうとしていけば、皆が関われるし、賛同する人が出てくると思う」

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