「はだしのゲン」翻訳者の思い インタビュー動画を公開

「はだしのゲン」翻訳者のインタビュー動画を公開している坂東弘美さん=20日、名古屋市

 広島原爆をテーマにした漫画「はだしのゲン」の中国語翻訳を担った名古屋市の坂東弘美さん(75)が、翻訳仲間から制作過程のエピソードや作品への思いを聞き取った動画をインターネットで公開している。作品はこれまでに24言語に翻訳され、いずれも国内外のボランティアが手がけた。戦争の惨禍を各国の人に伝えたいとの願いから、翻訳作業に向き合った様子などが明かされている。

 プロジェクト名は「ゲンの翼」。7月時点で、動画投稿サイト「ユーチューブ」に、翻訳本制作中のモンゴル語を含む5言語の翻訳者9人のインタビューをアップした。はだしのゲンへの思いが翼を広げて伝わってほしいというのがプロジェクト名の由来だ。

 「ゲンの翼」を始めたのは広島市教育委員会が市立小中高校の平和教育教材から、はだしのゲンを削除する方針を決めたと今年2月、報道されたことがきっかけだ。「ゲンの心が広島の若者に伝わらなくなる」との強い危機感からインタビューを思い立った。

 家族から動画編集の方法を教わり、撮影や編集は坂東さん一人で行っている。

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