彩色技術光るクジャク 丹念な描写 「皇室と岡山」展、入場者を魅了

大画面に描かれた華やかなクジャクに見入る入場者

 皇室に代々受け継がれた美術工芸品から名品をよりすぐり、岡山県立美術館(岡山市北区天神町)で開催中の「美をたどる 皇室と岡山~三の丸尚蔵館収蔵品より」(山陽新聞社など主催)。日本文化の粋が息づく会場で、ひときわ華やかなのが「神聖で高貴」とされるクジャクをテーマにした作品。作家が技巧の限りを尽くした、優美で色彩豊かな表現が入場者を魅了している。

 美しい飾り羽を持ち、世界各地で絵画や装飾品の題材に用いられてきたクジャク。皇室ゆかりの収蔵品の中でも「作り手の技量を見せる上で最適の題材だった」と同美術館の橘凜学芸員は話す。

 会場では、幕末から明治期に活躍した画家杉谷雪樵(せっしょう)が宮内省の依頼で制作した「花鳥之図」(8月6日まで展示)のは並外れた彩色技術が光る。中央に雌雄のクジャクを描き、ボタンやハクモクレンなどを周囲に配置。羽毛の一筋、花びら一枚まで丹念に描写した大画面に岡山市中区の会社員(48)は「本物のクジャクや花を前にしたみたい。きれいですね」と見入っていた。

 展示替えの8日からは、ポスターやちらしに掲載された江戸時代を代表する絵師円山応挙の「牡丹(ぼたん)孔雀(くじゃく)図」が登場。友禅染と刺しゅうでクジャクを精緻に描いた掛け軸も並ぶ。

 館内の「喫茶シファカ」では、同展のクジャクにちなみ、抹茶のテリーヌショコラを体に、キウイのスライスを羽に見立てた限定スイーツを販売。華やかで、愛嬌(あいきょう)のある見た目が「かわいい」と好評という。

 同展は27日まで、14日を除く月曜休館。

クジャクをモチーフにした「喫茶シファカ」の限定スイーツ

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