【わかりやすい早見表付き】新NISAのつみたて投資枠、年間フルに使い切ると10年後いくらになる?

2024年から始まる新NISAのつみたて投資枠では、年間120万円までの積立投資ができます。現行のつみたてNISAで投資できる金額は年間40万円まででしたから、一気に3倍に増えます。

新NISAのつみたて投資枠を年間フルに使い切ると、10年後にお金はどのくらい増えるのでしょうか。積立期間10年・15年のときの積立金額×運用利回りのわかりやすい早見表とともにご紹介します。


毎月10万円ずつ投資したら資産はいくらになる?

新NISAのつみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託に少額から長期・積立・分散投資ができます。つみたて投資枠の年間の投資額の上限は120万円ですので、毎月10万円ずつ投資できることになります。

毎月10万円ずつ10年間投資すると、元本の合計は1200万円です。その間の運用利回りが1%~10%だった場合の資産額の合計は、次のとおりです。

1%:1261万円(+61万円)

2%:1327万円(+127万円)

3%:1397万円(+197万円)

4%:1472万円(+272万円)

5%:1553万円(+353万円)

6%:1639万円(+439万円)

7%:1731万円(+531万円)

8%:1829万円(+629万円)

9%:1935万円(+735万円)

10%:2048万円(+848万円)

つみたて投資枠で10年間、毎月10万円ずつ投資すると、仮にその間の運用利回りが1%だったとしても61万円増える計算です。運用利回りが2%、3%…と増えると、当然それに合わせて運用益も増えます。

もっとも、いくら新NISAのつみたて投資枠で投資できる金額が増えたからといって、月10万円ずつ投資できる人は少ないでしょう。そこで、月5万円ずつ10年間積立投資した場合の資産額合計も紹介します。

1%:631万円(+31万円)

2%:664万円(+64万円)

3%:699万円(+99万円)

4%:736万円(+136万円)

5%:776万円(+176万円)

6%:819万円(+219万円)

7%:865万円(+265万円)

8%:915万円(+315万円)

9%:968万円(+368万円)

10%:1024万円(+424万円)

毎月5万円ずつ10年間投資すると、元本の合計は600万円です。投資額が1200万円の半分ですので、資産額合計も単純計算でその半分になります。月5万円であれば、現行のつみたてNISAの毎月の投資上限額(3万3333円)より1.7万円程度多いだけですので、実際に投資できる方もいるでしょう。ネット証券のクレカ積み立ても多くの場合上限は5万円です。

2024年に改正される新NISAといえども、値動きによっては損失を被る場合もあります。しかし、長期・積立・分散投資にコツコツ取り組むことで、リスクを減らすことができます。

積立期間10年・15年のときの積立金額×運用利回り早見表

上の例のような計算を自分でするのは大変ですので、早見表を用意しました。毎月の積立金額が1万円から10万円だった場合の資産総額の推移を見てみましょう。

図の縦の列には毎月の積立金額(1万円から10万円まで)、横の行には運用利回り(1%から10%まで)をとっています。そして、縦と横の交わるところにある金額が「毎月の積立金額◯万円・運用利回り◯%だった場合の資産総額」を表します。
先に紹介した「月10万円・5万円ずつ10年間投資した場合の資産額合計」は、この表の「10万円」「5万円」の行のものです。

つみたて投資枠で運用益非課税の投資ができる金額の上限は1800万円です。月10万円ずつ投資した場合、15年(180か月)で1800万円に達します。そこで、積立期間15年の場合の資産総額がわかる表も紹介します。

複利効果を活かすには、時間だけでなく利回りを高くすることも大事

運用期間10年と15年の表を見比べると、資産総額は当然15年の方が多くなっています。5年長く運用しているので複利効果も多く得られていますし、何より積立金額も多いからです。しかし、複利効果をより活かすには、運用利回りを高くすることも大事です。

前述の「新NISAで月10万円ずつ10年間積立投資」の場合で考えてみましょう。運用利回りが1%のときの運用益は61万円です。この運用利回りが2倍の2%になったとき、得られた運用益は127万円と、2倍以上に増えています。運用利回りが3%、4%と増えた場合も同様に、「運用利回りが1%増えたことでいくら増えたか」を計算してみると、運用利回りが高くなるほど複利効果が大きくなることがわかります。前述の例に書き足してみましょう。

●新NISAで月10万円ずつ10年間積立投資・運用利回り1%~10%の場合の資産額合計

1%:1261万円(+61万円)

2%:1327万円(+127万円)1%増で+66万円

3%:1397万円(+197万円)1%増で+70万円

4%:1472万円(+272万円)1%増で+75万円

5%:1553万円(+353万円)1%増で+81万円

6%:1639万円(+439万円)1%増で+86万円

7%:1731万円(+531万円)1%増で+92万円

8%:1829万円(+629万円)1%増で+98万円

9%:1935万円(+735万円)1%増で+106万円

10%:2048万円(+848万円)1%増で+113万円

運用利回りが増えるにしたがって、複利効果を大きく受けられる分、お金を増やしやすくなるのです。

運用利回りがどうなるかは、投資先の投資信託次第です。以下、目標とする運用利回り別に筆者が選んだ、つみたて投資枠で購入できる投資信託を紹介します(データは2023年7月19日時点)。

●目標利回り3%程度…ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)
純資産総額:335.33億円
基準価額:15,781円
信託報酬(税込):年0.154%
3年トータルリターン(年率):9.30%
5年トータルリターン(年率):6.36%

国内外の株式と債券に25%ずつ、均等に投資する「4資産均等型」と呼ばれるバランス型の投資信託です。株式と債券の比率が50%ずつで、国内と海外の比率も50%となっています。年金資産を管理しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もこの投資信託と同じく4資産分散投資を実施しています。1本買うだけでGPIFと同様の投資が実現します。なお、直近の3年・5年のトータルリターンは目標利回りと比べるとだいぶ高くなっていますが、GPIFの運用成績(2001年度から2022年度)を見てみると、年率3.59%となっています。

●目標利回り3~5%程度…eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
純資産総額:2103.56億円
基準価額:14,652円
信託報酬(税込):年0.143%
3年トータルリターン(年率):10.34%
5年トータルリターン(年率):6.28%

国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・国外の不動産(リート)の合計8つの資産に均等に投資する「8資産均等型」のバランス型投資信託です。「ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)」より債券の比率が少なく、不動産や新興国の資産などが入っている分、リスクは少々高めです。

●目標利回り年5%超…eMAXIS Slimバランス 全世界株式(オール・カントリー)
純資産総額:12900.13億円
基準価額:19,595 円
信託報酬(税込):年0.1133%
3年トータルリターン(年率):19.97%
5年トータルリターン(年率):-

先進国23カ国・新興国24カ国の約3000銘柄の値動きを表す「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」との連動を目指す投資信託です。世界株式市場のカバー率は85%。とても安い信託報酬で、世界中の株式に分散投資できます。「オルカン」の愛称で知られ、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」でも4連覇を達成しています。

投資のリスクとリターンはトレードオフの関係にあります。大きな利益が得られる可能性があるということは、大きな損失を被る可能性があるということでもあるのです。ですから、自分のリスク許容度(どれだけ損を許容できるかの度合い)に合わせて投資信託を選ぶようにしましょう。

リスク許容度が低いのであれば4資産均等型、そこそこのリスク許容度ならば8資産均等型のバランス型の投資信託、さらに積極的にリスクが取れるのならば、全世界株・米国株に投資する投資信託を選ぶという具合です。新NISAをフル活用して、資産形成を進めましょう。

※本記事は個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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