実家に置きっ放しの荷物、親は迷惑していた−−思い出の品と帰省時に使うモノの整理術

夏休みシーズンとなり、行動制限も緩和され、お盆に里帰りを計画している方も多いのではないでしょうか?

実家でのんびりと羽を伸ばすのもいいですが、帰省中にこそ行うべきなのが「荷物の片付け」。滞在中に1日1時間、荷物の整理を行うだけでも、大いに親孝行になるはずです。


7割以上の子どもが、実家に私物を置きっぱなし

私が前職の株式会社サマリーで行った、子どもが独立して同居していない親を対象に行なった「お子様の荷物に関する調査」では、73%もの家庭で、子どもが実家に荷物を置きっぱなしにしていることが分かりました。このうち半数以上の家庭で、押し入れ1個分以上もの量の荷物が、放置されています。

自宅の収納スペースのうち、押し入れは肝となる存在。押し入れが独立した子どもの荷物で埋まっているようでは、親御さんの部屋全体の片付けが捗らなくなり、部屋がフル活用できない状態が続いてしまいます。

「もともと家族で住んでいた広い家に、現在は両親2人で住んでいるのだから、問題はないだろう」と思う方は、親御さんの好意に甘えているだけかもしれません。同調査によると、母親の約6割が、子どもの荷物を「邪魔だ」と感じています。邪魔に感じている母親のうち、子どもにその旨を伝えて協力してもらえたケースは1割未満。大半のケースでは、子ども側が母親の指摘を無視したか、子どもに伝えることすらできていないという状況です。

子育てをやり遂げ、いよいよ第二の人生の幕開けという時に、モノに囲まれているようでは、親御さんもスタートダッシュが切りづらいですよね。ライフスタイルに合わせた住宅の住み替えや、老朽化した住宅のリフォーム・大幅な模様替えなど、大量のモノがあると選択肢が狭まってしまいます。

ちなみに放置されているモノは、アルバムやトロフィーなどの、家族との思い出が詰まった品だけではありません。実際には漫画本、参考書、季節外の服、2軍の靴など、さながらトランクルームのような状態です。「匂いのひどい靴を無断で捨てたら、子どもに叱られた」「明らかに古い化粧品も、子どもの帰省の時まで処分できず困っている」という親世代の声もあり、子ども側は存在すら忘れているモノに、親が毎日苦しめられることも。

まずは実家に自分が何を置きっぱなしにしているのか、正しく把握することから始めましょう。

思い出を置かせてもらうなら、段ボール1箱分以内で

モノの整理は、本人しか判断がつきません。たとえ親でも勝手に捨てたりできないため、自分のモノは、帰省のタイミングで責任をもって判断をしていきましょう。1日1時間を目安に、自分の荷物を1点ずつ点検していきます。洋服など「親も使えるだろう」と思うモノでも、自分自身が購入した場合は全て点検の対象とします。

判断基準は、「幼少期の思い出が詰まっているか」「帰省のタイミングで、実家で活用するか」の2軸です。

幼少期の思い出については、段ボール1箱に収まる程度に厳選しましょう。紙類が多い方は、スキャンや写真で代用しながら、カサを極力減らしていきます。例えば、文集は自分の掲載ページだけを切り取って保管する、大量の写真から厳選して台紙に貼り付け、残りはスキャンしてデータ化して処分する、成績表や表彰状は将来自分の家族に見せたいものだけ厳選し、その他はスキャンか写真でデータ化する、などです。

学習机や本棚は、サイズによっては親の書斎にも転用できますが、大半のものが子ども向けに作られており、親が使うには使い勝手が悪いもの。フリマアプリへの出品やリサイクル店への持ち込み、また地域のリユースマッチングアプリなどで近所の子どもに譲りましょう。

思い出の上限は「段ボール1箱分」におさめること。それ以上のサイズのものは、用途がなければ手放すべきです。特にランドセルや制服は、そのままのサイズで置いておくのはかさばるため、残しておきたい場合、ランドセルは財布やポーチなどの革小物に、制服はミニチュアサイズにリメイクして人形に着せるなど、サイズダウンの検討をしましょう。

「帰省のタイミングで使うもの」については、カゴ1つ分程度にコンパクトに収めましょう。スマホやPC、下着類は帰省の際に持参することが多いため、最小限の部屋着や寝具があれば十分なはずです。注意点は、「いつか実家で着るだろう」という名目で、2軍の服や本を置いておかないこと。両親が使う予定のない服や本は、自宅に持ち帰るか、売るなどして処分しましょう。

高価なお土産よりもスペースの提供で両親を喜ばせよう

住み慣れた自宅でも、1畳分のスペースができるだけで、活用法は無限に広がります。子どもの学習部屋を親のアトリエにリメイクしたり、洗濯部屋として家事をこなしやすくしたりできます。自宅でのストレッチや、書道など、新しい趣味を始めるきっかけになるかもしれません。

帰省の際には、豪華なお土産や食事で両親を喜ばせるのもいいですが、浮いたスペースは毎日の生活にダイレクトに恩恵を与えます。ぜひ、1日1時間、荷物整理にチャレンジして、親孝行をしてみてくださいね。

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