子どもの頃見たあの絵…「まんが日本昔ばなし」に携わった池原昭治さん、親子で埼玉・狭山のアニメ制作

池原昭治さんの原画を取り入れたアニメーション「源義高と大姫の物語」の一場面(池原奈々さん提供)

 埼玉県狭山市在住の童絵作家池原昭治さん(84)の原画を取り入れたアニメーション「源義高と大姫の物語」が完成し、市内の公共施設や動画投稿サイト「ユーチューブ」で放映を始めた。池原さんの絵を通じ幅広い年齢層に昔話を知ってほしいと、池原さんの長女でマネジャーの奈々さん(52)が制作に当たった。

 「源義高と大姫の物語」は約8分30秒。平安時代末期の武将・源義高と源頼朝の娘・大姫にまつわる物語をモチーフに選んだ。

 義高は11歳で人質として頼朝の元に送られ、大姫と過ごした。12歳の時に現在の狭山市の入間川河川敷で、頼朝の追っ手に討ち取られたとされる。

 アニメは史実をベースにしながら、市の伝統行事「入間川七夕まつり」の要素を取り入れて幻想的な内容とした。奈々さんは「父(昭治さん)や友人との相談の上でストーリーをつくった」と振り返る。

 池原さんは市観光協会と市ビジネスサポートセンターの依頼で2022年、義高のイラスト画を手掛けている。奈々さんはアニメ制作用ソフトを利用し、池原さんのイラストをアップデート。今回のアニメに登場させた。

 背景画は、ほぼ全てに池原さんの水彩画を使用したほか、戦の場面などにも池原さんの作品を取り入れている。

 池原さんは1980年代から、民放テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の演出や作画に携わった。しかし時間の経過とともに「日本昔ばなし」を知らない世代も増えてきた。奈々さんは「より多くの人に池原昭治の絵を愛してほしい」と考えるようになったという。

 「源義高と大姫の物語」はユーチューブで18日から公開し、狭山台図書館や中央図書館や市民交流センターなどでも放映を始めている。

 奈々さんは「今後も地元や地方に伝わる昔話のアニメを作っていきたい」と話している。

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