高齢者参画で社会活性化を 寺島実郎氏「沖縄が成功例を発信し、存在感を」 沖縄経済学会40周年

 沖縄経済学会(宮平栄治会長)の設立40周年記念大会が29日、宜野湾市の沖縄国際大学で開かれた。日本総合研究所会長で多摩大学長の寺島実郎氏が記念講演し「沖縄経済の将来像(世界・アジア・日本経済の中の沖縄)」をテーマに復帰後50年間の沖縄経済と将来ビジョンを語った。

 寺島氏は「2022年の1人当たりのGDPランキングで日本はアジア4位、世界30位で、アジアの先頭にも立っていない」と強調。アジアダイナミズムの中で沖縄がどのように発展すべきか、経済の視点から提言した。

 沖縄の未来を象徴するプロジェクトとして、人口減少社会の中で高齢者参画型の経済活性化を挙げた。2015年から45年までの都道府県別人口増加率の推計では、唯一増加の東京を除くと沖縄の0.4%減が全国で最も減少率が少ないことに着目。「50年には人口の4割が65歳以上となることが予想される」とし、高齢者が参画できる社会設計を重視し、「沖縄が成功例を発信することで、国内だけでなくアジアでも存在感を示せる」と期待を寄せた。

 また、「文化力」をキーワードに挙げ、本島北部のテーマパーク建設計画にも言及。人材育成・教育とエンターテインメントをリンクさせているハワイ・オアフ島のポリネシアカルチャーセンターを例に「施設を造るだけではなく、プロジェクトエンジニアリングの視点で計画を立てることが重要」と指摘。変化する時代の流れに気づき、行動を起こすことが重要だと県経済の奮起を促した。

 沖縄経済学会は1983年に設立。式典には照屋義実副知事や沖国大学経済学部の村上了太学部長らが出席。歴代会長を代表して15代会長の大城郁寛氏に感謝状が贈呈された。

(普天間伊織)

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