20~60代が登壇、沖縄経済の未来は? 人材育成や幸福度へ提言も 経済学会大会

 沖縄経済学会設立40周年記念大会では、寺島実郎氏の基調講演を踏まえ、20代~60代までそれぞれの世代を代表したパネリストが沖縄経済を語るパネル討論「沖縄経済 過去・現在・未来 課題と展望」が行われた。

 明治大学大学院博士後期課程在学中の玉城優希氏(20代)、那覇市副市長で元総務官僚の古謝玄太氏(30代)、NPO法人離島経済新聞社代表理事の鯨本(いさもと)あつこ氏(40代)、沖縄高専教授の金城伊智子氏(50代)、沖縄経済学会会長で名桜大学教授の宮平栄治氏(60代)がそれぞれの立場から見た沖縄経済を語った。

 沖縄県の交通問題を研究している現役学生の玉城氏は「今後、高齢化が進む中で、新たな課題解決のため、50年後を見据えた交通計画の策定が必要」とし、BRT(バス・ラピッド・トランジット)の導入や専用レーンの整備、電気バスやハイブリッドバスの導入を提案した。

 古謝氏は「経済学会に限らず、アカデミアと実業との乖離(かいり)問題がある。経済団体とうまく連携することにより、提言を実装化する速度が上がるのでは」と、今後の活動への意見を述べた。

 鯨本氏は「沖縄は失業率や貧困率などの数字は低い位置にいるが、実際には移住者も多く、満足度も高い。経済学というと数字が最重要視されがちだが、幸福度や生きやすさは数値で計れないもので、人の営みという意味で広く捉え、指標と考えるべきだ」と沖縄経済をいかに捉えるかについて提言した。

 金城氏は沖縄高専に本年度新たに創設された「観光・地域共生デザインコース」について説明し、「専門分野にとらわれずに自身の活躍するフィールドを開拓し、創生能力やエンジニアリングデザイン能力を持つ人材の育成が今後は必要となる」と強調した。

 幅広い世代からの意見を受け、宮平会長は「大学内外の人材育成、若手研究者の研究奨励などに積極的に関わりながら、研究の普及や関連機関との学術交流を図るため今後も努力したい」と抱負を述べた。

(普天間伊織)

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