12歳で移住しボリビアで医師に 玉城清雄氏に旭日双光章 スペイン語話せない移住者の心強い存在に

 戦後の沖縄県系移住者として初めての医師で、オキナワ日本ボリビア協会が運営するオキナワ診療所の元所長、玉城清雄医師(75)が旭日双光章を受けた。サンタクルス日本人会会館でこのほど、叙勲伝達式が行われた。これまでの功績が読み上げられた後、小野村拓志・駐ボリビア日本国特命全権大使から勲記を手渡された。

 玉城医師は旧羽地村(現沖縄県名護市)出身。1960年、12歳の時に家族とボリビア・サンタクルス県のオキナワ第2移住地に入植した。同地で小学校を卒業して、モンテロ市ムユリナ寄宿高校を経て、77年にラパス市サン・アンドレス医科歯科大学を卒業した。

 スペイン語を話せない日本人移住者とその家族にとって心強い存在だった玉城医師は、ボリビア国における開業医としての必須条件であるボリビア国籍を取得した。78年から2年間、日本国文部省国費留学生として、群馬大学病院で消化器学、胃腸内視鏡、超音波検査に関わる技術を習得した。

 帰国後、80年から85年にオキナワ日ボ協会診療所第2分院に勤務した。医療機器も十分に整備されていない中で、移住者や日系人、周辺住民の健康維持増進などに貢献した。

 86年から95年はサンタクルス市で開業医として活躍し、97年からオキナワ日ボ協会運営のオキナワ診療所に勤務した。衛生局と交渉し、無料予防接種の実施や生活習慣病の早期発見と予防、消化器系の内視鏡検診を実施し、2010年にオキナワ日本ボリビア協会診療所診察棟整備計画に参加し、施設整備に貢献した。11年から15年の定年退職まで同診療所の所長を務めた。

 サンタクルス中央日本人会日系診療所の再建にも尽力し、現在は同診療所顧問を務めている。叙勲伝達式の会場には家族や医師、看護師、団体関係者らが駆けつけ祝福した。

(安里三奈美通信員)

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