海や川でごみ19トンを回収 オーシャンズ助成の4社・団体

「みんなでびぜん」が鹿久居島の海岸で行った清掃活動=2023年2月19日

 海ごみ削減を目指し、瀬戸内オーシャンズX推進協議会(岡山、広島、香川、愛媛の4県と日本財団で構成)が昨年創設した助成制度の第1期が6月末で終了した。岡山県内で助成を受けた4社・団体は、海や川で合わせて20回の回収活動を行い、延べ約1600人が計約19トンのごみを回収した。

 備前市で海洋教育施設を運営する「一般社団法人みんなでびぜん」は、陸から行けない離島の浜にたまったごみに着目。今年2月に初めて船をチャーターして鹿久居島(同市)の浜に降り、親子連れや大学生約100人でペットボトルや発泡スチロールなど約4トンを回収した。船橋美可(みよし)代表理事は「島のごみ対策は懸案だった。助成制度で一歩を踏み出せた」と評価。海岸を中心に計6回の回収量は約7トンにのぼった。

 市民グループ「釣り人みんなで、ごみ拾い」は、海へのごみ流出を食い止めようと、笹ケ瀬川や百間川(岡山市)などの河口近くで2022年11月から計11回活動。プラスチックなど約3.5トン、空き缶や瓶など約1.3トンを回収した。助成金は事前の草刈りや回収ごみの処分費などに充てた。

 平井雅明代表は「費用負担は活動の大きな障壁」と述べ、県がごみ処分費を負担する新制度を例に「恒久的な支援制度で支えてほしい」と訴える。

 大きな川に流出する前のごみ回収に挑戦したのはリサイクル業の平林金属。今年5~6月の23日間、幅約3メートルの用水路(同市北区)に網を張り、流れてきたごみや水草計約80キロを拾い上げた。初めてのため、行政への申請などに時間がかかり、「企業が気軽に取り組めるようガイドラインなどがあれば」と平林久尚(ひさたか)経営企画課長。5月には瀬戸内市の前島で社員と地元住民約50人で海岸のプラごみや流木約5トンを回収した。

 山陽新聞社は「里海 未来へ」のアクションとして22年11月に岡山市の旭川、今年3月には笹ケ瀬川流域7会場での清掃活動を主催。公募市民ら計約750人が合わせて約2.1トンを拾った。現在は「地域で考え、行動することが重要」と、子どもと大人が参加するワークショップや清掃活動を展開している。

 瀬戸内オーシャンズXを担当する塩入同(とも)・日本財団香川事務所長は「各団体・企業はさまざまな責任を負いながら、直面する課題を乗り越えて成果を示した。活動の広がりにも貢献している」と話し、今後の活動に期待している。

 瀬戸内オーシャンズX推進協議会の助成制度 瀬戸内海のごみ削減などに取り組む団体や企業が対象。2022年の第1期助成では11件を選び、岡山県内からは、「一般社団法人みんなでびぜん」(備前市)、「釣り人みんなで、ごみ拾い」、平林金属、山陽新聞社(以上岡山市)が昨年11月~今年6月の期間で活動した。9月に次期申請を受け付ける。

© 株式会社山陽新聞社