【上達への第一歩】覚えておこう!乗馬レッスンの基本の号令と用語

初心者の方が馬に乗ることに慣れてきて、ある程度コントロールできるようになると、いよいよグループレッスンに仲間入り。
レッスン中の馬場から「グウカクにてジュンジハンマーキ」「チョウテイセキでカッコにマキノーリ」と呪文のような号令が聞こえてきて、「何を言っているのかわからない…」と不安になってしまった方はいらっしゃいませんか?

今回は、グループレッスンにデビューする前に知っておきたい基本の号令と用語を解説します。
覚えておけば、安心してレッスンを楽しむことができますよ!

安全第一!部班運動のルール

「部班運動」とは、複数の人馬が指導者の号令に従って行う運動のことで、グループレッスンの一つ。
複数の人馬が同じ馬場の中で同時に動くので、安全に運動するためにはルールを守る必要があります。

部班運動の基本的なルール

・指導者の号令に従う
・指導者から指示がない限り、並んでいる順番を変えない
・指導者から指示がない限り、蹄跡を進む
・指導者からの指示がない限り、歩法(常歩・速歩・駈歩)を変えない
・前の馬との距離を一定に保つ(基本は2馬身、馬2頭分の間隔をあける)

最初は自分のことだけで精一杯になってしまうかもしれませんが、ルールを守り、周囲の人馬の状況にも目を配りましょう。

経験豊富な指導者が全体を観察しながら、安全に運動ができるように号令をかけたり、必要に応じて馬の順番を入れ替えたりしてくれますので、安心して指示に従ってください。

もし、風が強かったりして号令が聞こえなかった場合は「すみません、号令が聞こえませんでした」とすぐに伝えるようにしましょう。号令が聞こえないまま部班運動を続けるのは、安全ではありませんし、貴重なレッスン時間がもったいない!
指導者も早めに言ってもらった方が助かります。

ちょっと独特?部班運動の号令

基本的には、号令=「どこで」+「どのように」+「何をする」です。

最初に書いた「グウカクにてジュンジハンマーキ」は、
隅角にて=馬場の角で
順次=前の馬に続いて
半巻き=直径が6m、8mまたは10mの半円+半径の3倍の直線で蹄跡に戻る
となります。

チョウテイセキでカッコにマキノーリ」は
長蹄跡で=馬場の長い方の辺の上で
各個に=各人馬がそれぞれに
巻乗り=直径が6m、8mまたは10mの円上を1回進む
です。

少し軍隊の名残が残る、独特な言い回しですよね。

「どこで」「どのように」「何をする」を示す用語については、続く段落でご説明します。

馬場のポイントを示す用語

号令の「どこで」にあたる、馬場のポイントを示す用語のうち、主なものをご説明します。下の図と併せてご覧ください。

・蹄跡(ていせき):馬場を囲う柵(埒(らち))のおよそ1m内側のライン
・長蹄跡(ちょうていせき):蹄跡のうち長い2辺
・短蹄跡(たんていせき):蹄跡のうち短い2辺
・隅角(ぐうかく):蹄跡の4つの角
・中央線(ちゅうおうせん):短蹄跡の中央を結ぶ線
・斜線(しゃせん):長蹄跡上で隅角の6m先から、反対側の長蹄跡の隅角の6m手前を結ぶ斜めの直線

動作を示す用語

号令の「どのように」「何をする」にあたる、動作などを示す用語をご説明します。

「どのように」

・順次 / 先頭より:先頭の人馬に続いて一列で
・各個に:各人馬がそれぞれに
・全体:各人馬がいっせいに

「何をする」

・気を付け:手綱をぴんと張った状態にして、人馬ともに次の動作の準備をする
・休め:手綱を伸ばして馬をリラックスさせる
・輪乗り(わのり):短蹄跡を直径とする円周上を進む。「蹄跡を前へ」などの次の指示があるまでは円周上を進み続ける。
・巻乗り(まきのり):直径が6m、8mまたは10mの円を1回書く
・反巻き(はんまき):直径が6m、8mまたは10mの半円+蹄跡上の半径の3倍の地点に直線で戻る
・斜め手前変換:短蹄跡から長蹄跡に入って6m直進した後、斜線上を進み、対角長蹄跡の隅角6m手前に入る。号令では「斜めに手前を換え」
・輪乗りの手前変換:輪乗りの中で、輪乗りの半径を直径とする半円を2つつなげることで回る方向を換える。号令では「輪乗りの手前を換え」
・回転:それまでの進行方向に対して直角に曲がる

これら以外にも動作を示す用語はありますので、詳しく知りたい方はこちらも参考にしてくださいね。
部班運動と号令のかけ方」第1版(20220218 修正版)日本社会人団体馬術連盟

まとめ

今回は、乗馬レッスンで使う号令や用語について、特に部班運動で使われるものを中心にご説明しました。
日常会話では使わない単語が多いので、初めて聞くと違和感があるかもしれませんが、この機会に覚えてしまいましょう。安心してレッスンにのぞむことができます。

部班運動は初心者向けの練習方法と思われがちですが、複数人馬がタイミングを合わせて動くことが重要なため、競技にもなるほど奥が深いものです。
馬によって体格やペースがまちまちなので、馬間距離(前の馬との距離)を一定に保つだけでも一苦労。その結果、馬をコントロールする技術が磨かれます。
また、馬場の外からだけではなく、一緒に運動しながら他の方の乗り方を間近に見ることができますので、とても勉強になります。

乗馬技術の上達への第一歩のため、号令と用語を理解して有意義なレッスンを楽しんでくださいね。

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