レイがレース1で今季初優勝。チェコラウンドはランキングトップ3が1勝ずつ分け合う/SBK第8戦

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第8戦チェコラウンドがアウトドローム・モストで行われ、レース1はジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、スーパーポール・レースはトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith・プロメテオン・ワールドSBK)、レース2はアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝した。

 チェコラウンドでは、負傷により欠場が続いていたマイケル・ファン・デル・マーク(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が5戦ぶりに復帰した。また、鈴鹿8耐のテストに参加した際の転倒、負傷により欠場したハフィス・シャーリン(ペトロナス・MIEレーシング・ホンダ・チーム)に代わり、ハナス・ソーマーが参戦している。

 土曜日のスーパーポールでは、ラズガットリオグルがポールポジションを獲得した。2番手はダニロ・ペトルッチ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)、3番手はレミー・ガードナー(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)。スーパーポールで転倒を喫したレイは5番手、終盤に発生した転倒による黄旗のためにタイムを更新できなかったバウティスタは14番手で、5列目からレース1に挑むことになった。

■レース1:レイが今季初優勝

 レース1は気温20度、路面温度26度のウエットコンディションで始まった。タイヤ選択はインターミディエイトとレインで分かれ、ポールポジションのラズガットリオグルやペトルッチ、レイはインターミディエイトを装着した。また、スタート前にはレースディレクションにより、レース中にピットインを行ってタイヤ交換が可能となることがアナウンスされた。

 ホールショットを奪ったのは、4番グリッドスタートのバッサーニだった。レース序盤はコンディションによってレインタイヤを履いたバッサーニがひとりで抜け出す格好となり、同じくレインタイヤのガードナーが4秒ほど離れて2番手、その2秒後ろにバウティスタ、チャビ・ビエルゲ(チームHRC)、レイが続く展開となった。インターミディエイトを選んだラズガットリオグルは、大きく後退して12番手にポジションダウンした。

 路面状況は次第に回復していき、5周目にはインターミディエイトを履くレイが急激にペースを上げていく。このころ、レインタイヤ勢は続々とピットインしてタイヤ交換を行った。このなかには、バウティスタ、そしてトップを走っていたバッサーニも含まれていた。

 バッサーニのピットインによって、レイがトップに立った。2番手はスコット・レディング(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)、3番手はペトルッチ。また、ラズガットリオグルもじわじわとポジションを回復し、4番手に浮上していた。

 10周目、ペトルッチがレディングをかわして2番手に浮上したが、その翌周の1コーナーでワイドになるミスを犯し、ラズガットリオグルのパスを許してしまう。ラズガットリオグルが2番手、ペトルッチが3番手に順位を変えた。このときトップのレイは、ラズガットリオグルの12秒ほど前方を走っていた。

 レイはそのままトップでチェッカーを受け、2023年シーズン初優勝を飾った。2位はラズガットリオグルで、最終的にレイとの差を約4秒にまで縮めた。3位はペトルッチが獲得している。4位はレディング、5位にはイケル・レクオーナ(チームHRC)が入った。

■レース2:バウティスタがSBK50勝を達成

 スーパーポール・レースはレイとのトップ争いを制し、ラズガットリオグルが優勝を飾った。2位はレイ、3位はバウティスタが獲得している。4位はバッサーニ、5位はマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)だった。

 レース2は気温24度、路面温度31度のドライコンディションで行われた。トップを奪ったのはバウティスタで、2番手にバッサーニ、3番手にレイ、4番手にラズガットリオグルが続く展開となる。

 バッサーニはバウティスタに仕掛けるがバウティスタが再びトップを取り戻す。バッサーニは2周目の1コーナーでオーバーランを喫する痛恨のミスを犯し、トップ争いから12番手に後退した。バッサーニのポジションダウンにより、トップがバウティスタ、2番手がレイ、3番手がラズガットリオグルというトップ3のオーダーとなる。その後、ラズガットリオグルがレイをかわして2番手に浮上した。

 3番手のレイはバウティスタとラズガットリオグルから離されていき、トップ争いはバウティスタ、ラズガットリオグルの一騎打ちとなった。バウティスタの背にぴたりとつけていたラズガットリオグルは、7周目の13コーナーでバウティスタのインサイドに飛び込むと、オーバーテイクを決めてトップを奪う。しかしバウティスタもラズガットリオグルを逃がさず、緊迫したトップ争いが続く。

 トップスピードに勝るドゥカティ パニガーレV4Rを駆るバウティスタはメインストレートでラズガットリオグルに何度も並びかけるが、1コーナーのブレーキングでラズガットリオグルがトップを守る。ラズガットリオグルとバウティスタのふたりは、そんな激しい攻防を繰り広げながら、周回を重ねていった。

 バウティスタの猛攻を受けながらもトップを堅守していたラズガットリオグルだったが、17周目の3コーナー立ち上がりでリヤが大きくスライドし、ハイサイドを喫してクラッシュ。ラズガットリオグルはここでリタイアを喫した。ラズガットリオグルのクラッシュにより、バウティスタがトップに浮上。レイは2番手、3番手はリナルディとなった。

 リナルディの後ろにはペトルッチが迫っており、3番手争いはドゥカティ同士の争いとなる。ペトルッチは残り3周の1コーナーでリナルディをパスし、さらに前を走るレイとの差をも詰めていった。

 トップを走るバウティスタはそのままチェッカーを受け、今季18勝目を挙げた。これは1シーズン中に挙げた優勝回数としては歴代トップである。また、この勝利により、バウティスタはSBKにおける50勝目を達成した。

 2位争いは最終ラップ、最終コーナーの立ち上がりからの加速でペトルッチがレイをパスすることに成功。ペトルッチがSBKにおけるベストリザルト、2位を獲得している。3位はレイだった。

 レース序盤に2番手を走りながらミスによって後退したバッサーニは、12番手からポジションを回復して4位フィニッシュ。5位はリナルディだった。

レース2では、トップを走っていたラズガットリオグルがハイサイド転倒を喫してリタイア

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)では、レース1でニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・ワールドSSPチーム)が優勝した。2位はステファノ・マンジ(テンケイト・レーシング・ヤマハ)、3位はバハッティン・ソフォーグル(MVアグスタ・レパルト・コルセ)だった。

 レース2は途中で雨が降りだし、一部のライダーはレース中にピットインをしてタイヤ交換を行う難しいコンディションとなった。優勝したのはタラン・マッケンジー(ペトロナスMIE・MSレーシング・ホンダ・チーム)。2位はマーセル・シュロッター(MVアグスタ・レパルト・コルセ)、3位はソフォーグルが獲得した。岡谷雄太(プロディーナ・カワサキ・レーシング)はレース1で25位、レース2で21位。阿部真生騎(VFTレーシング・WEBIKEヤマハ)はレース1で26位、レース2で22位だった。

 スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)は、レース1ではレノックス・レーマン(フロイデンベルグKTM-パリゴ・レーシング)が優勝し、2位はマルコ・ガッジ(チームBrコルセ)、3位はダニエル・モヘダ(カワサキGPプロジェクト)だった。レース2は雨のためにスタートディレイとなり、レースは8周に短縮して行われた。優勝したのはアルディ・サティア・マヘンドラ(チームBrコルセ)。2位はホセ・マヌエル・オスナ・サエス(Deza-Box 77レーシングチーム)、3位はホセ・ルイス・ペレス・ゴンザレス(アコレードSmrzレーシングBGR)が獲得した。

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