茨城・鹿嶋市 市道の損傷、AIで検知 車から画像、庁舎で確認

パソコン上で市道の損傷箇所をチェックする市職員=鹿嶋市役所

道路の穴やひび割れなどをいち早く把握し、維持管理にかかる経費を軽減させる取り組みが茨城県鹿嶋市で始まった。人工知能(AI)で損傷箇所を検知するアプリが入ったスマートフォンを搭載した車両を走らせ、職員は庁舎内にいながら損傷程度を画像で確認できる仕組み。職員の作業時間短縮にもつながっている。

アプリは、東大発のスタートアップ(新興企業)「アーバンエックステクノロジーズ」が開発。市は、アーバン社と組む石油元売り大手の出光興産の協力を受け、市内を高頻度かつ広範囲にLPガスを配送する車両3台と市公用車5台に乗せ、昨年11月から今年2月まで実証実験を行った。成果が出たため、市は出光興産と契約を結び、6月から正式導入された。

導入以前の検知は住民からの通報や、職員と外注業者のパトロールが主だった。実験期間と同時期の1年前の穴の検知件数は148件あったが、実験ではアプリだけで238件確認できた。実験期間中の計8台による走行は、市道総計9741キロメートルのうち87.2%をカバーできたという。

導入以前は住民から通報があると、現地確認のため、職員が出向いていた。導入後は、既に検知できていれば出向くことなく損傷具合を確認でき、時間短縮につながっている。

穴については直径10センチ単位、ひび割れについては1.5メートル単位で検知し、大きさのレベルに分けて知らせてくれるため、交通量なども踏まえ、補修の優先度がより分かりやすくなった。国道や県道についても、市に通報が入ることも多く、国や県の関係機関に速やかに具体的に連絡できるようになった。

6月からはアプリ搭載のLPガス配送車3台と公用車2台が市内を巡っている。損傷が大きくなる前の予防保全的な管理もできるようになり、維持管理コスト削減にもつながるとみられる。市政策推進課は「外注していたパトロール費分で導入できた。削減できた時間を他の業務に振り分けられる」としている。

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