スズキ 新型アルトを徹底解説! 軽トップクラスの低燃費と価格の安さが魅力満点

2021年に登場した9代目スズキ 新型アルトはコンパクトなボディサイズと安価な価格設定で、日常生活のツールとして長きにわたって愛されているモデルです。2021年のフルモデルチェンジではマイルドハイブリッドエンジンが搭載され、燃費の高さにさらに磨きがかかりました。そんな新型アルトのグレード構成や燃費、おすすめグレード、車体色などをカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが解説します。

スズキ 新型アルト

新型アルトのおすすめポイント

・衝突被害軽減ブレーキやサイド&カーテンエアバッグを全車に標準装着

・2WDのWLTCモード燃費は25.2〜27.7km/Lと優秀な数値を達成

・ガソリンモデルのLグレードやAグレードの価格は100万円を下まわり、低燃費と併せて経済性が抜群

新型アルトのレビュー・評価

総合評価 4.0 ★★★★☆

5段階採点の解説

外観

スズキ 新型アルトの外観は、高い位置に装着されたヘッドライトや水平基調のボディスタイルにより、シンプルな雰囲気です。馴染みやすさも感じられます。

内装

新型アルトのインパネ周辺は立体的なデザインで、低価格でも質感に不満はありません。後席が意外に広くて居住性はよく、4名乗車も可能です。

走行性能

新型アルトのガソリンモデルであるLグレードの車両重量は680kg以下なので加速感は軽快です。カーブではボディが大きく傾くことがありますが、後輪の接地性が高いため、走行安定性は良いです。

運転のしやすさ

新型アルトは運転席からボンネットが見えてボディの四隅が分かりやすく、側方や後方の視界も良いです。最小回転半径は4.4mで、小回り性能も優れています。

乗り心地

新型アルトは転がり抵抗を抑えたタイヤの採用などによって乗り心地は硬めですが、大きめな段差を乗り越えた時の突き上げ感は抑えられています。

価格の割安度

新型アルトのガソリンモデルの上級グレードにあたるLは各種の安全装備を充実させ、電動格納式ドアミラーなどの実用装備も標準装着して、価格を99万8800円に抑えました。

総合評価の解説

新型アルトは実用指向の軽自動車なので、内外装のカッコ良さや豪華さ、運転の楽しさなどは追求していません。その代わりに、街中の移動手段として便利に使えます。

軽自動車のメリットである小回りの利きは抜群に優れ、新型アルトの全高であれば立体駐車場も使いやすいです。フロントウィンドウの角度を立てたので、乗り込む際にかがむ姿勢にならず、乗降性も良いです。

新型アルトはボディが軽いために走りは軽快で、燃費性能も優れています。内装も趣味性は弱いですが、安っぽい印象はなく、居住性も後席を含めて大人が着座できます。軽自動車の本質を突いたクルマに造り込まれています。

良かった点

・ボディが軽いため、ノーマルエンジンでも運転感覚は軽快

・後席の座り心地は硬めだが、頭上と足元は意外に広い

・小さな視界の良いボディは小回りの利きが良く、立体駐車場も使える

気になった点

・後席の足元空間を広げたため、荷室の容量は最小限度

・乗り心地が硬めで、カーブを曲がる時はボディが大きく傾くことがある

・登り坂では、エンジンノイズがやや耳障りに感じる

新型アルトの基本スペック・価格表

新型アルトのプロフィール

今の軽自動車では、スズキ 新型スペーシア、ホンダ 新型N-BOXなど、全高を1700mm以上に設定した背の高い車種が売れ筋です。

スズキ 新型スペーシア,ホンダ 新型N-BOX
スズキ 新型スペーシア,ホンダ 新型N-BOX

ところが新型アルトは、全高を立体駐車場が使いやすい1525mmに抑えるボディサイズで流行のデザインとは異なっているものの、販売は好調に推移しています。

新型アルトが背の低いボディながらも高い人気を得ている理由は、軽自動車の本質とされる経済性を突き詰めたからです。

新型アルトは衝突被害軽減ブレーキやサイド&カーテンエアバッグが標準で装着されつつも、価格が100万円を下まわるグレードも用意され、高い燃費性能を有します。さらに視界の良いボディは運転しやすく、日常生活のツールとして安全かつ便利に使えます。

新型アルトのボディサイズ

新型アルトの燃費

マイルドハイブリッドを装着しない価格が100万円以下のノーマルエンジン車でも、WLTCモード燃費は25.2km/Lと優れています。

新型アルトの発売日と納期の目安

新型アルトは天井の低いスライドドアを装着していない軽自動車ですが、売れ行きが堅調です。「アルト」の車名も認知度が高く「低燃費で低価格」の軽自動車を求めるユーザーの間では定番の商品と言えるでしょう。

納期と今後のモデルチェンジ予想

新型アルトは2021年にデビューしたので、当分の間、フルモデルチェンジは実施しません。その代わりに特別仕様車の追加などは考えられます。

新型アルトのリセールバリュー

リセールバリューの5段階採点:4点

新型アルトは趣味性の弱い軽自動車なので、高値で売却できるクルマではありません。それでも軽自動車は、中古車市場の人気が全般的に高く、特に新型アルトは設計も新しいので、売却時に不利な条件になる心配はないでしょう。

新型アルトのおすすめグレード

おすすめグレード:おすすめグレード:L(99万8800円/2WD)

新型アルトのマイルドハイブリッドエンジンではWLTCモード燃費が27.7km/Lですが、価格も109万7800円以上で新型アルトの中では高額です。そこでノーマルエンジンを選ぶのがおすすめです。ノーマルエンジンでもWLTCモード燃費は25.2km/Lと良好で買い得と言えます。

今回ご紹介したLグレードの装備も衝突被害軽減ブレーキ、電動格納式ドアミラー、コンパクトカーでもオプション設定にすることの多いサイド&カーテンエアバッグなどが標準装着され、価格は100万円以下に抑えています。

新型アルトのライバル比較

新型アルトのライバル車はダイハツ 新型ミライースです。新型ミライースはボディが軽く、燃費性能も優れ、価格もL・SAIIIグレードを95万9200円に抑えるなど新型アルトと同様に安価です。

ダイハツ 新型ミライース

その上で比べると、新型アルトはサイド&カーテンエアバッグが全車に標準装着されていますが、新型ミライースでは最上級のG・SAIIIグレードにサイドエアバッグが装着されているだけです。

走行性能の比較では、実用回転域の駆動力も新型アルトに余裕があります。新型アルトが登場したのは2021年の末ですが、新型ミライースは2017年なので、設計の新しさが新型アルトの商品力に影響を与えています。

新型アルトのカラーバリエーション

新型アルトのボディカラーは2トーン4色と、モノトーン8色が設定されています。

2トーンはハイブリッドXとハイブリッドS、さらにL アップグレードパッケージ装着車で選ぶことができます。

モノトーンのホワイトはアップグレードパッケージ装着車除くLグレードと、Aグレードのみが選択できるカラーです。エントリーグレードとなるAではダスクブルーメタリックとシルキーシルバーメタリック、ホワイトの3色が設定されます。

新型アルトを販売店で試乗するときのポイント

新型アルトを街中で試乗する時は、路面の荒れた場所を時速40km以下で走り、乗り心地を確認しましょう。ユーザーによっては、細かなデコボコや突き上げ感が気になる場合があります。後席の座り心地もチェックしておくと安心です。後席は頭上と足元が広いですが、座面は短く、座り心地も硬めになるからです。収納設備の数も限られているので注意が必要です。

その一方で、優れた視界や車庫入れのしやすさ、乗降性、軽快な運転感覚など、新型アルトのメリットも確認しましょう。

【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:雪岡 直樹/MOTA編集部】

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