<知事選>共産・柴岡氏、自公と近距離の現職批判 大沢氏ポスター封印も手応え 大野氏を青島健太氏が応援

有権者に政策を訴える候補者=30日午前、県内(画像の一部を加工しています)

 8月6日投開票の埼玉県知事選に向け、選挙戦最後の日曜日を迎えた30日、共産公認で党県委員会書記長の新人柴岡祐真氏(39)、無所属で音楽制作業の新人大沢敏雄氏(69)、自民、公明、立民、国民、維新5党の各県組織の支持を受ける現職大野元裕氏(59)が各地で政策を訴えた。県内の観測地点全8カ所で36度を超える猛暑日の中、追い込みに入った舌戦も過熱。集まった有権者も額に汗を浮かべながら、熱のこもった演説に耳を傾けた。

■柴岡氏

 柴岡氏はさいたま市内の商業施設などを回り、午後5時からJR浦和駅東口で小池晃書記局長や県選出の伊藤岳参院議員を応援弁士に迎え街頭演説会を行った。

 柴岡氏は「(大野県政は)4年前は自民党と対決姿勢を取ったが、どんどん自公と距離を縮めた」と現職批判を展開した。共産党県委員会の書記長という肩書を紹介し、「書記長として県民の声を聞いてきた」と県民との近さをアピール。県立高校へのタブレット配備や女性副知事の任命などを掲げつつ、マイナンバー保険証や軍拡など国の施策を批判し「県民のためにならないことは国に『ノー』と言う。自公相乗りの冷たい県政ではなく、県民に寄り添う温かみのある知事になる」と強調した。

 小池書記局長は、国政での与党や一部野党を批判し、「国の悪政から県民を守る県政をつくる選挙にしよう。埼玉共産党の若いリーダーを県のリーダーに押し上げてほしい」と聴衆に呼びかけた。

■大沢氏

 大沢氏は午前10時半から地元の加須駅で街頭演説。「私が求めるのは心と心が通うコミュニティー」と訴え、その後は熊谷市や長瀞町で街頭活動を行い、知名度アップに奔走した。

 大沢氏は環境問題などに配慮してポスターを封印し、地元の加須市を拠点に周辺の幹線道路沿いで連日「辻立ち」を行い、認知度向上を図ってきた。「最初は不安だったが、思ったよりも反応が良かった。中には手を振ってくれる人や窓を開けて『頑張れ』と声をかけてくれる人もいる」と手応えを語る。

 加須駅の街頭演説では教職員や県職員の働き方改革、知事給与の3割カットなど、掲げている公約を強調。「旧態依然や人に忖度(そんたく)する政治はいらない。改革には創造力が必要で、私はぶれず、行動力も誰にも負けいない。心豊かな生活を皆さまと一緒につくる政治を実現する」と言葉に力を込めた。

■大野氏

 真っ黒に日焼けした現職の大野氏は三郷、八潮、草加市と県東部の駅前を精力的に駆け回った。ガラス張りの街宣車で到着した大野氏が聴衆と握手を交わす間に、大野氏を支持する各市長や県議、市議が投票を呼びかけた。

 前回に続いて「無所属県民党」を掲げる大野氏は4年間の実績を強調するとともに、各政党や市長会・町村長会などの支持に感謝。「ワンチーム埼玉が私の最大の強み。多くの会派・政党・団体の皆さんと、埼玉が抱える課題を確実に克服したい。ぜひこの両肩に責任を負わせていただきたい」と人口減や災害への対応に熱弁を振るった。

 午後0時半から草加駅東口で行われた街頭演説には、4年前の知事選で大野氏と激戦を演じた維新の青島健太参院議員が応援に駆け付け、「水害やコロナとの戦いで暮らしを守った大野知事の活躍には敬意を表する。私たちは本当に素晴らしい知事を迎えて4年間を過ごした」と太鼓判を押した。

© 株式会社埼玉新聞社