高裁が『願栄光帰香港』禁止令拒絶

特区政府律政司は6月、香港の国歌と誤解される曲『願栄光帰香港』について高等法院(高等裁判所)に禁止令頒布を要請したが、高等法院は7月28日、禁止令頒布を拒絶した。

29日付香港各紙によると、律政司は香港版国家安全法第21条に違反または刑事罪行条例第9条で定義された扇動意図に当たり、特に香港を中華人民共和国からの分離を主張する『願栄光帰香港』について、国家分裂や国歌侮辱を扇動する意図を持っているなど4種類の者が、いかなる方式でもネット上での配信、転載、中継、上演、刊行、発表、販売、要約販売、展示、複製するのを禁じる禁止令を要求した。

高等法院の裁判官は「律政司が法廷に特殊権力を行使することを要求する場合は香港域内すべての人を対象にした禁止令となるため、範囲が広く、法廷は熟慮と厳格な審査を行う必要がある」と指摘。また裁判官は、行政長官が今年7月11日に香港版国家安全法第47条に基づき、禁止令が示す4種類の行為は国家の安全にかかわるとの証明書を発行したことを初めて明かした。

同証明書は法廷に対して拘束力を持ち、4種類の行為はいずれも香港版国家安全法、刑事罪行条例、国歌条例がカバーする範囲の刑事罪に含まれ、特に香港版国家安全法の国家分裂罪は最高刑罰が終身刑となっている。このため禁止令頒布を認めた場合、禁止令は刑事罪の起訴時限を凌駕する可能性があり、香港版国家安全法などの刑法の法執行との間に衝突が生じる恐れがあると説明。

裁判官は国家の安全を守ることは至極重要であるとして、今回の禁止令になんら実質的効用がない、または法執行上で刑法と相互抵触するという場合を除けば今回の禁止令を認めると述べた。

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