環境汚染への懸念も 蘭越蒸気噴出から1カ月

後志の蘭越町で地熱発電に関する調査現場で蒸気が噴出してから1カ月が経ちました。現場周辺では高濃度のヒ素を含む水の敷地外への流出が続くなど環境汚染への懸念が強まっています。事態が長引いている地元の現状を取材しました。噴出は先月29日の昼前に発生。今月28日、調査主体の三井石油開発は3回目の住民説明会を開き、健康被害などへの対応について説明しました。

原田英典社長「蒸気噴出にかかわる損害については弊社が補償させていただく方針。状況を正しく理解し、適切な補償につなげていきたい」

三井石油開発によりますと、これまでに19人が健康被害を訴えています。

町民「健康被害が出ている方はつらい思いをされている。三井さんは対応を、しっかりとしてもらいたい」

また、現場で噴出している蒸気由来の水からは一時最大で水道水基準の2700倍となる1リットル当たり27ミリグラムのヒ素を検出しました。水は当初、敷地外の道有林に流出。三井石油開発はその後、パイプラインを敷設し、別の井戸への送水に成功しましたが、その後も2度にわたって敷地外への流出が確認されました。こうした中、農業用水のヒ素の濃度は現時点で基準値を下回っていますが、ブランド米の「らんこし米」の生産者からは、風評被害に対する不安が広がりつつあります。

ようてい農協蘭越担当理事・田村俊一さん「まずは収束ですね。今、噴出しているもの(蒸気)を、全力を挙げて(鎮圧して)もらいたい。(仮に農業被害が出たら)それについては会社として誠実に対応してもらいたい」

三井石油開発は噴出が続く井戸の側面への注水などで来月中旬までに蒸気噴出の抑制を図る方針です。

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