東京・奥多摩発!「TOKYO WASABI」体験 with わさびブラザーズ

かつて徳川幕府にも献上された「奥多摩わさび」をご存知ですか?

日本国内のわさび3大産地と言えば、静岡、長野、岩手 ──これら3県で国内生産量の実に85%以上を占めます(林野庁)。ただ、ここ東京でもとても希少なわさびが栽培されているんです。

かつて徳川幕府にも献上されたという「奥多摩わさび」。今回はその稀少なわさびはもちろん、それを育てる人と自然の素晴らしさもご紹介したいと思います。

舞台は、東京都奥多摩町 ──

JR新宿駅から中央線〜青梅線と乗り継ぎ、『JR御嶽駅』で下車。約1時間30分ほどかけてやってきたのは、東京都多摩地域北西部に位置する『奥多摩町』です。

東京都内の市区町村では最も広い面積を有し、なにより空気が一際おいしいエリア。「奥多摩わさび」たちはこの緑豊かな自然の中で育てられています。

「奥多摩わさび」に惚れ込んだ「わさびブラザーズ」

今回、我々のガイド役を担っていただいたのは、角井仁さん。角井さんは「奥多摩わさび」に魅せられ、神奈川県横須賀市からここ奥多摩町に移住。2020年3月から弟の竜也さんと「わさびブラザーズ」を結成し、「奥多摩わさび」を世間に広めるべく精力的な活動を行っています。

その活動は、現役のわさび農家として「奥多摩わさび」の栽培や収穫などはもちろんのこと、1日1組限定の「わさびツアー」の開催やキッチンカーによる「わさび食堂」の展開など多岐に渡ります。

稀少な「奥多摩わさび」に出会うべく、そのわさびを生育している「わさび田」に角井さんにご案内いただきました。大きなわさびのイラストが目印の『BBQ by TOKYO WASABI(東京都青梅市御岳1-192-4)』。こちらが「わさびツアー」のスタート地点になっています。

なお、当ツアーは事前予約をすることで、どなたでもご参加いただくことができます。詳細については、下記リンク先ページにてご確認ください。

奥多摩わさびツアー 詳細ページ

いざ「わさび田」へ!

スタート地点でツアーの概要などの説明を受け、長靴に履き替えるなどの装備を整えたら車移動。車で可能な限り移動した後は山中をハイキングします。

東京とは思えない大自然の中を自分の足で進んでいく── まさにアドベンチャーとも言えるようなこの体験は、当ツアーの最初の醍醐味!

この日は終始汗が滴り落ちるほど蒸し暑い夏日であったにも関わらず、肌に触れる渓流沿いの空気はひんやりと。そして、辺り一帯を包む静謐さがより一層神秘的な空間を演出してくれていました。

奥多摩町に残る自然の雄大さ・美しさは、ここが東京だということを忘れてしまうほど印象的です。

「わさび田」に到着!

山中を約15分ほど歩くと、目的地である「わさび田」に到着しました。足元に並んだ石の間から顔を出すのは、清き湧水で育つ「水わさび(沢わさび)」たち。

みずみずしさを纏ったわさびには、実際にツアーに参加された方々によって植えられたものも見受けられました。

こちらは「真妻(まづま)」という品種。品のある辛味の中から顔を出す甘味のバランスや香りの高さなどから、いわゆる高級品と言われているものです。

肥料など、なにか「特別な栄養は与えていないんです」という角井さんの言葉には素直に驚きを覚えました。

奥多摩の自然がもたらす恩恵を受け、すくすくと成長するわさび。奥多摩の気候や土の状態はもちろんですが、やはりこの清らかな水があってこそなのでしょう。東京の水、そのイメージが覆ります。

「先輩方」から受け継いだものを、さらに進化させていく

角井さんのお話の中で、特に印象に残るキーワードがありました。それは「先輩方」という言葉。

「先輩方」とは、もちろん「わさび農家の諸先輩の方々」を指します。御歳70を超える先輩方が、古くは江戸の時代から代々受け継いできた「奥多摩わさび」。それを今度は角井さんをはじめとした次の世代が受け継ぎ、「奥多摩わさび」にとってよりよい環境を守りつつ、さらに進化させていく ──

それは、この石垣もそう。

湧水内の不純物の濾過や水温の安定化などの効果・役割を果たす石垣。上層から下層へと湧水が流れることによってその効果を得られ、安定したわさび栽培が可能になります。

角井さんたちは100年以上前に先輩方が積み上げたこの石垣を受け継ぎ、石垣のさらなる拡張なども含め、約3年かけて「わさび田」をいまの形に整備していったのだそう。もちろん人力で、です。

この「わさび田」は重機などの大型機械がとても入れるような場所にありません。そのご苦労は、私たちがとても想像し得ないもの。「生半可な気持ちではできないですよね」という角井さんの言葉が、ジーンッと心に深く沁み入ります。

稀少な「奥多摩わさび」を食す!

当ツアーの締めくくりは、自分たちで土から引き抜いた、採れたての「奥多摩わさび」の試食です。

こちらは「実生(みしょう)」という品種。先ほどの「真妻」と同じ「水わさび」で、1年半以上かけて育てるのだそうです。なお、角井さん曰く「より自然に感じるわさび」だと。

独特の目の細かさを有する特製のおろし器で、採ったばかりの「実生わさび」を剃っていただきました。

口に含むと、まず軽やかな辛味がフッと鼻に抜けます。その辛味は角が取れ、思った以上に丸味を帯びていました。同時に、辛味の奥にはほんのりとした甘味も。また、とてもクリーミーで舌触りが良く、舌にスゥッと馴染むような感覚も印象的。普段食しているわさびとの違いは明らか……圧倒的です。

緑豊かな自然に囲まれ採れたてのわさびをいただく時間は、ほんの短くとも「贅沢」と思えて仕方ありませんでした。このわさびにまつわる様々なエピソードを聞いた後では、なおのこと。

人と自然との共生により育まれる「奥多摩わさび」

かつて徳川幕府にも献上されたという「奥多摩わさび」。それを育てる人と自然 ── まさに人と自然との“共生”により育まれてきた至高の逸品であると、今回身を持って体感できました。

東京・奥多摩発、唯一無二の「奥多摩わさび」。皆さまもその真髄を体感していただけたら幸いです。

奥多摩わさびツアー 詳細ページ

BBQ by TOKYO WASABI

〒198-0174 東京都青梅市御岳1丁目192−4 わさび処すずき

■こちらでもオススメの観光地・お店などを紹介しています!

オフィシャルサイト:https://tama-kankou.tokyo/
Instagram:https://www.instagram.com/imadekakerutama/

*取材・文・撮影:ヤマネコ

公認ライターおすすめ!東京都の美味しいごはん旅をご紹介

https://gohantabi.jp/syutoken/tokyo

*この記事は2023年7月時点の情報を基に作成しています。

*新型コロナウイルス感染症の影響で、営業状況や掲載内容に変更が生じる場合があります。最新の情報は、事前に各店舗・施設の公式情報をご確認ください。

*「ニッポンごはん旅」は、新型コロナウイルス終息後の旅行先として検討いただきたいという想いで各地の情報を発信しています。

ライター:多摩観光推進協議会

© 株式会社ロコガイド