演技力&スター性を兼ね備えた「演技ドル」を代表する韓国アイドル3選!

韓国ドラマファンの間では、すでに聞き慣れている「演技ドル」という単語だが、元々はあまり良い意味では使われていなかったと記憶する。今でこそアイドルが映画やドラマなどに、いち俳優として出演することになんの違和感もないが、これは比較最近の事だ。

それは映画やドラマの制作サイド、または俳優陣がアイドル界との“混線”をよく思っていない傾向が強かったためだと言われている。またマスコミも、ドラマや映画でのアイドル起用はプロモーション活動に過ぎないと認識していたのか、これを揶揄して“演技をするアイドル=演技ドル”という造語を生み出したとされている。

しかし、それも今は昔。現在使われている「演技ドル」は、「演技」も「アイドル」もできるという意味で使われている。まさに全方向(ジャンル)で万能な活躍をしている、誇らしい言葉へと生まれ変わっているのだ。

さらに「スター性」までも兼ね備えた「演技ドル」たちが、映画にOTTにドラマにと国内のみならず、海外視聴者をも魅了している。そんな代表的な3人を、韓国メディアのスポーツソウルを引用して紹介したい。

♦2PM イ・ジュノ

デビュー15周年を迎えた、第2世代アイドルグループ2PM(ツーピーエム)のメンバーイ・ジュノが、ここ最近「ロコ(ロマンスコメディー)キング」の地位を不動のものにしている。現在Netflixで配信中のドラマ「キング・ザ・ランド」で主演を務め、少女時代のユナと甘いロマンスを展開中。韓国で視聴率10%を超える盛況ぶりだ。

2017年に出演したドラマ「キム課長とソ理事 ~Bravo! Your Life~」では、ナムグン・ミンと息の合った演技を披露し、ベストカップル賞を受賞。劇中、真顔で見せた2人のTWICE「TT」は、大きな話題となった。また「自白」などのシリアスなジャンルでも実力を発揮し、俳優としての演技の幅を広げている。

そして除隊後の復帰作「赤い袖先」では、最高視聴率17.4%(ニールセンコリア全国基準)を記録、この勢いのまま第58回「百想芸術大賞」TV部門で男優最優秀演技賞を受賞し、大衆に「俳優・イ・ジュノ」を刻印した。

♦EXO D.O.(ディオ/ド・ギョンス)

「演技ドル」と聞いて、彼の名が最初に思い浮かぶ韓ドラファンは多いのではないだろうか。EXOのメンバーとしてグループでは美声を放つD.O.が、俳優ド・ギョンスとして映画「The Moon」でスクリーンに復帰した。同作はD.O.を「*千万俳優」へと導いた映画「神と共に」シリーズのキム・ヨンファ監督が手がけた作品で、月探査を素材にしたSF映画だ。D.O.は予期せぬ事故で、宇宙に孤立してしまった調査隊員を演じている。
*1000万人以上の観客を集めた映画の看板俳優のこと

2014年にドラマ「大丈夫、愛だ」で、ドラマ初挑戦とは思えぬ演技力を見せ注目を集めると、「100日の郎君様」では時代劇初挑戦ながら高視聴率をマーク。映画「スウィング・キッズ」では、難しいと言われていたタップダンスを吹き替えなしで披露。「あの日、兄貴が灯した光」では、全盲になってしまった柔道選手を演じるなど、現在も俳優としての無限の可能性を見せつけている。

最新映画「The Moon」では、ワイヤアクションに挑戦したと言い、月で孤立し緊迫感あふれるD.O.の姿を、早く日本でも見たいものである。

♦ZE:A イム・シワン

「演技ドル」の先駆け的存在といえば、イム・シワンなくしては語れない。9人組アイドルグループZE:A(ゼア)としてデビュー後、いち早く俳優業に足を踏み入れ成功を収めた一人だ。そんなイム・シワンは、世界で旋風を巻き起こしたNetflixドラマ「イカゲーム2」に出演することが明らかになった。

イム・シワンは韓国で2012年に放送され、その後日本でも大ヒットとなったドラマ「太陽を抱く月」で俳優デビュー。当時24歳でありながら、童顔を武器に子役を射止めることに成功した。翌2013年には映画「弁護人」に出演、俳優としての可能性が認められると、ドラマ「ミセン-未生-」などの代表作を生み出すなど、俳優としてのキャリアを着実に積み重ねている。最近は映画「非常宣言」や「スマホを落としただけなのに」などでヒール役に挑んでおり、役者としてさまざまな顔を見せてくれている。

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韓国のある業界関係者は「ほんの数年前までは、アイドルの演技が通過儀礼のように必ず“演技力論争”に巻き込まれていた。“準備もせずにスター性だけを掲げている”と、否定的な視線が強かったが、最近は俳優にも劣らない演技力で偏見を打ち破るアイドルの活躍が続いており、俳優を目指すアイドルの良い例となっている」と話しているという。

(よろず~ニュース・椎 美雪)

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