ドイツのニュルブルクリンクで7月30日（日）、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ（GTWCヨーロッパ）第6戦、同シリーズ内の“エンデュランス・カップ”第4ラウンドの決勝レースが行われ、アコーディスASPチームの88号車メルセデスAMG GT3エボ（ラファエル・マルチェッロ／ティムール・ボグスラフスキー／ジュール・グーノン組）が、ポール・トゥ・ウインを飾った。
シーズン第3戦／エンデュランス・カップ第2戦ポール・リカール以来、2023年シーズン2勝目を飾ったトリオは、前日に雨のなか行われた予選でポールポジションを獲得した後に追加のBoP（バランス・オブ・パフォーマス）調整が入り、メルセデスAMG GT3エボが10kgの重量増を受け取ったにもかかわらず、3時間レースのスタートからフィニッシュまでレース全体を支配してみせた。
なお予選後のBoPでは、AMGのほかマクラーレン720S GT3エボにも同じく10kgの追加バラストが課された。一方、ランボルギーニ・ウラカンGT3エボは5kgの軽量化が認められ、同じくイタリアメーカーの新車フェラーリ296 GT3は決勝前に10kg軽くなっている。
そんななか迎えた日曜の決勝ではスタート直後の1コーナーで小さな混乱が起き、2番手スタートの63号車ランボルギーニ（アイアン・リンクス）や3番手グリッドからスタートした777号車メルセデス（メルセデスAMGチーム・アルマナー）などが接触によって順位を落とす。オープニングラップは、マルチェッロがドライブする88号車を先頭に96号車ポルシェ911 GT3 R（ルトロニック・レーシング）、11号車アウディR8 LMSエボII（コムトゥユー・レーシング）が並び、さらにダービッド・シューマッハーが乗り込んだ157号車メルセデスAMG GT3エボ（ウインワード・レーシング）、777号車と続くトップ5が形成された。
その後88号車はマルチェッロが後続に対するリードを拡げ、スタートから45分が経った段階でその差は10秒に。この間マーロ・エンゲルは2台をパスし、777号車メルセデスを3番手に押し上げることに成功する。さらに予選2番手タイムを記録したメルセデスは、1回目のピットストップ後には96号車ポルシェをアンダーカットで逆転。同門88号車追撃の態勢に入る。
この2台が最接近したのはスタートから2時間が経過し、最終ドライバーにステアリングが引き継がれたタイミングだった。先頭を走る88号車に対してアンダーカットを仕掛けた777号車は、ボグスラフスキーから替わったグーノンのピットアウト後、首位から0.5秒差に迫る。ルカ・ストルツにとって最大のチャンスが訪れたが、グーノンも抵抗し順位を死守した。その後しばらくのあいだ1秒以内のバトルが続いたが、徐々に777号車メルセデスが遅れはじめ、残り30分の時点でギャップは2.7秒に。最終的には1.9秒差での決着となり、アコーディスASPチームによる“ライト・トゥ・フラッグ”で戦いの幕が閉じられた。
3位にはスタート直後の混乱でグリッド順位の5番手から4つ以上ポジションを下げながら1時間目に7番手まで挽回し、2時間目には4番手、そして3時間目に表彰台圏内まで這い上がってきた40号車アウディR8 LMSエボII（トレゾア・オレンジ1）が入った。最終盤に96号車ポルシェから順位を奪った25号車アウディR8 LMSエボII（サンテロック・ジュニアチーム）が4位。1時間目に2番手を走行したルトロニックのポルシェは、最終的に5位でチェッカーを受けている。
ゴールドカップは総合6位でフィニッシュした157号車メルセデス（ミクラス・ボーン／シューマッハー／マリウス・ツーク組）がクラス優勝を飾った。シルバーカップはGRTグラッサー・レーシング・チームの85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ（クレメンス・シュミッド／ベンジャミン・ハイテス／グレン・バン・ベルロ）が、プロ・アマカップでは同じくランボルギーニ陣営のバーウェル・モータースポーツ78号車ウラカンGT3エボ（ロブ・コラード／デニス・リンド）がクラス優勝を果たしている。
GTWCヨーロッパの次戦は“ドイツ2連戦”の後半ラウンド、ホッケンハイムで開催されるシーズン第7戦だ。9月2～3日に行われるイベントはスプリント・カップの今季第3戦となっている。
