青森・津軽のソウルフード!もったいない精神が生んだおふくろの味「イガメンチ」

旅人へひとこと

津軽地方へ行ったら家庭の味、津軽の人のソウルフード「イガメンチ」をぜひ食べて帰ってください。

津軽の独特な食文化の中で出会ったトップバッター「イガメンチ」

青森県の西部・津軽地方にある食材や食文化は、雪国の風土と伝統に育まれ、それらが今でも日々の食卓にのぼり、脈々と受け継がれてきています。

津軽の旅で訪問したのが『津軽あかつきの会』。

伝統料理のレシピを守り伝えていく活動を行う団体で、下処理から完成まで全て手作りで行い、その手間ひまかけた愛情料理の精神をも盛り込むレストランです。

冬の間に仕込んでおいた保存食、春に芽吹く山菜、ふきのとう味噌「ばっけ味噌」など、津軽の人々の中で伝えられてきた伝統的な製法を用いた数々の料理がお昼の御膳で食べられます。

季節の野菜や食材を使ったお膳には、小さな器に少しずつ盛られたたくさんの献立。

薄味に仕上げられており、五味の豊かなバリエーションで津軽の食を楽しめます。

津軽の食文化のトップバッター「イガメンチ」

この中で一番真ん中で存在感を放っていた料理。

それが「イガメンチ」です。

終戦直後、まだまだ食料が豊富ではなかった頃。

お刺身などで食べたイカのゲソが残ってしまうことがありました。これを余すことなく使うために野菜くずなどとともに小麦粉と卵を混ぜて丸め揚げたり焼いたりした、いわば時代が生んだ料理でした。

これがいつしか「イガメンチ」と呼ばれるように。“イガ”は、津軽弁で“イカ”がなまったものです。

そのおいしさから「イガメンチ」はあっという間に広がり、各家庭で作られるようになり、今では津軽を代表するソウルフードとしてその地位を確立しています。

イカゲソのぷりぷり感と風味を生かしたレシピ

具材にはイガゲソの他、キャベツと玉ねぎが良く使われます。甘味を加えるにんじんを入れることもあります。

衣は付けず素揚げか焼きが基本で、そのまま食べられるように下味はしっかり。なじみのあるメンチカツのようにソースをかけたりはせず、閉じ込められた食材の味を感じられるイカのメンチ。

ヤケドを恐れず、ガブッとかじりつきたい!

しっかり揚げのカリカリ食感にする家庭や、小麦粉やたまごのふわふわ感が強いイガメンチもあります。焼きの場合は少量の油を敷いてフライパンでお手軽に。

近年ではイガメンチを使ったメニュー開発により、イガメンチを使ったハンバーガーや丼などを提供するお店もあります。

食材からはお好み焼きを彷彿とさせるのですが、そうならないようにイカをたっぷり入れるのもポイントです。そうすることでイカのうま味が存分に感じられる、達人級の「イガメンチ」が完成します。イカを大き目にカットしたり衣を多くしないなど、家庭によって様々な工夫もあるそうです。

家庭によって、お店によって色んな「イガメンチ」があり、みんなの中にみんなの「イガメンチ」が生きています。

老若男女のごはんのおかずだけでなく、お酒のつまみにもぴったり。居酒屋メニューにも「イガメンチ」は登場します。

写真の「イガメンチ」は弘前の郷土料理を提供するお店のもの。揚げたてでちょっとふっくらタイプ、食べ応えあってイカの風味が閉じ込められた大きなサイズでした。

もともとは家庭料理でしたが、今では色々なお店でも提供されるようになったので、旅人にも体験できるうれしい機会が増えました。色んなお店の「イガメンチ」を食べ比べするのもいいかもしれないですね!

津軽の“もったいない精神”から生まれた絶品の「イガメンチ」。大人も子どもも大好きな津軽の味は、今も日々の食卓をにぎわす一品として、これからも愛される味になるでしょう。

津軽あかつきの会

〒036-8124 青森県弘前市石川家岸44−13

津軽独特の大石武学流庭園『盛美園』もオススメ

津軽地方・平川市を中心に発展した庭園文化『大石武学流』は、庭園の形式や作法が一子相伝で現代まで伝えられてきました。
切り出してきた巨石をそのまま据え置き、雪国に強い針葉樹を植えたダイナミックなスタイルが特徴です。

多くの庭園が生まれましたが周辺にその形式が伝わっていき、津軽地方の中だけで独自の発展をしてきました。

ここ『盛美園』は、大石武学流庭園の傑作との呼び声も高く、広い敷地に築山での高低差を設け周辺の山々を借景とした美しい庭園です。銅板の緑がまぶしい洋館も大変優美な姿で、和風庭園とのコントラストも相まって和洋の美の競演が楽しめます。

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盛美園

〒036-0242 青森県平川市猿賀石林1

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*この記事は2023年6月時点の情報を基に作成しています。

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ライター:西村 愛

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