鶏卵卸売価格 半年ぶり300円割れ 供給回復、需要減で

異例の高騰から下げ基調に転じていた鶏卵の卸売価格が31日、半年ぶりに1キロ当たり300円の大台を割った。価格上昇や猛暑による需要の落ち込みと、高病原性鳥インフルエンザの影響で減っていた生産量の回復が重なって、逼迫(ひっぱく)していた需給が一定程度緩んだ。外食チェーンでも、休止していた卵メニューを再開する動きが出ている。

JA全農たまごの同日のM級基準値(東京)は1キロ295円で、前市から10円下げた。300円を下回るのは、1月30日の取引以来6カ月ぶり。名古屋、大阪、福岡でもそれぞれ下げ、全面安となった。ただ、平年比では6割高と、依然として高値水準にある。

逼迫傾向が解消しつつある背景には、「加工業者が輸入品による手当てに動いていることも一因」(大手鶏卵卸)という。供給が回復してきたことを受け、外食チェーンでは卵メニューを再開する動きが広がっている。

帝国データバンクの主要外食企業100社への調査によると、卵メニューを休止する企業は7月上旬時点で13社となり、5月時点の最大29社から縮小。6月末までに16社が提供を再開した。

ただ、飼料や光熱費といった鶏卵の生産コストは上昇しており、「鶏卵価格の大幅な下落は見込みづらい」と指摘。「卵メニューの休止は緩やかに解消へ向かうとみられるが、卵価の高止まりを理由とした値上げが今後広がる可能性がある」としている。

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