「生徒への具体的な説明なかった」 那須雪崩事故・刑事裁判(第9回公判)

 那須町で登山講習中だった大田原高校の生徒と教諭合わせて8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われている、講習会の責任者だった教諭3人の裁判が31日、宇都宮地方裁判所で開かれました。証人尋問で、講習会で生徒を引率した顧問の教諭2人が責任者の被告から受けた指示などについて証言しました。

 業務上過失致死傷の罪に問われているのは、当時の講習会の責任者の猪瀬修一被告(57)と8人が亡くなった大田原高校の班を引率していた菅又久雄被告(54)、それに後続の班を引率していた渡辺浩典被告(60)の3人の教諭です。裁判では雪崩を予見できたかなどが争われています。

 31日の証人尋問では、雪崩事故が起きた当時、先頭の大田原高校とは別の班で同じ尾根を登っていた那須清峰高校ワンダーフォーゲル部の男性顧問と、女子生徒の班を引率していて、雪崩の発生を本部に歩いて伝えに行った真岡女子高校ワンダーフォーゲル部の男性顧問が証言台に立ちました。

 那須清峰高校ワンダーフォーゲル部の男性顧問は、講習会3日目の計画の変更について、責任者だった被告3人が決めたと証言しました。また、雪山登山の経験が浅かったため、講習会には引率教諭であるとともに、自身も講習生という認識で参加したと話しました。

 一方で、真岡女子高校ワンダーフォーゲル部の男性顧問は、責任者の被告らから講師に向けて計画の変更が伝えられた際には立ち入ってはいけない場所などの説明があったとしたものの、生徒に向けては、具体的な説明がなかったと証言しました。

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