埼玉初の百貨店“八木橋”支えたユニーク企画の仕掛人どんな人 ハンズの店「プラグスマーケット」で催し中

アイデアマンとして知られる宮地豊さん=熊谷市仲町の八木橋百貨店3階プラグスマーケット

 埼玉県熊谷市仲町の八木橋百貨店。明治30(1897)年6月24日に呉服店として創業した後、県内初の百貨店となった。同店営業推進販促・企画シニアアドバイザーの宮地豊さん(61)は「新型コロナウイルスの流行前まではいかないが、ようやく9割ぐらいはお客さんが戻ってきた」と語る。

 宮地さんは旧浦和市(現さいたま市)出身。大学卒業後、「バブル前夜で百貨店が輝いていたから」と1984年に入社した。紳士服や化粧品などの売り場を担当後、販売促進部長などを務め、ユニークな催しを多数企画してきた。2007年から同店に設置されている「大温度計」はたびたびメディアに取り上げられ、日本一暑いまちの夏に欠かせない風物詩となっている。

 今年2月には同店3階に生活雑貨のハンズ(東京都)によるプロデュース店舗「Plugs Market(プラグスマーケット)」がオープンした。ハンズの約2万点の雑貨や生活用品を取り扱うほか、2週間程度で交代しながら地元産の逸品の販売にも注力しており、地域密着型の店舗運営を展開している。

 8月2日から14日にはプラグスマーケットの伝え場で、「電波(なみ)で伝えるフードラボマルシェ」が行われ、コーヒーや焼き菓子店など28店が展示販売を実施し、地元の逸品などが販売される。宮地さんは「信頼が売りである百貨店のプラットフォームを活用してもらいたい。商品が良かったら実際に店舗に行って買ってもらい、地域を活性化できれば」と意気込む。

 地域に根差し、文化の発信拠点でもある地方百貨店でさまざまな企画に取り組んできた宮地さん。「今まで百貨店に来店されない人に、百貨店は楽しい所と知ってもらいたい」と話した。

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