トンネルの火災報知器 非常ボタン押したのは誰? 1か月に3回の“誤作動”

愛媛県松山市と今治市を結ぶ国道に抜かれた全長約2.8キロの水ヶ峠トンネル。その名の通り山道の峠にあるトンネルで、6月27日には死亡事故が発生した。

そんな水ヶ峠トンネル内に設置された、火災を知らせる報知器が6月下旬以降、1か月間で3回も“誤作動”している。

消防が駆け付けても火事は確認されず、報知器のボタンが押された痕跡なども見当たらないことから、人為的ないたずらの可能性は無いという。

報知器を作動させているのは、一体何者なのか。

消防によると、トンネル内の報知器から火災通報があったのは、死亡事故があった次の日の28日午後1時ごろ、翌29日午後5時半ごろ、そして7月25日の午後4時ごろの合計3回。

特に事故翌日の“誤作動”には、背筋に冷たいものが走った。

報知器には非常ボタンと非常電話が設置されていて、これらが作動すると自動通報される仕組み。“誤作動”は、3回とも非常ボタンからの通報だった。

「もし何者かがボタンを押した場合、ボタンをカバーするアクリル板が割れて外れることになるが、割れていなかった」

消防隊員は首をひねるし、我々も釈然としない。
そこで、トンネルを管理する愛媛県今治土木事務所にも確認すると…

報知器のボタンを押していたのは

「当日の悪天候で雷が発生していたことが、誤作動の原因と考えられる」

何と雷が“落ち”て、“落(お)し”ていたのだ。

トンネルには「避雷器」と呼ばれる、雷の影響を避ける装置が設置されているが、老朽化などにより十分に機能しなかった場合、報知器などの回路を誤作動させることがあると指摘する。

あいテレビの気象予報士に、問題の3日の気象衛星画像を呼び出してもらったところ、確かにいずれの日も、水ヶ峠トンネルの上空には雲が掛かっている様子が見て取れた。(※赤い囲いの辺り)

「白色が濃い場所は、積乱雲が発達して、雷雨となっていた可能性が十分に考えられる」

県今治土木事務所の担当者は、3回の誤作動を受けて点検を実施。今後、部品交換などの対策を進めるという。

「水ヶ峠トンネル以外の場所でも、時々発生している現象のようだ。消防などに迷惑を掛ける訳にはいかないので対策を講じていきたいが、自然現象にはかなわない部分もある」

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