レディー・ガガ、故トニー・ベネットへの思いを綴る「偽りのない、真の友人だった」

歳は50年以上離れていたが、レディー・ガガと故トニー・ベネットは特別な魔法を共有していた。ベネットが死去してから約10日後の現地時間2023年7月30日、ガガは親友でありコラボレーターであったベネットに愛情あふれる賛辞を送った。

彼女はベネットに温かくハグされている写真をインスタグラムに投稿し、「私は永遠に友人を恋しく思うだろう。彼と一緒に歌い、レコーディングし、話し、一緒にステージに立つことができなくなるのは寂しい。トニーといると、私はタイム・ワープしたような人生を送ることができた。トニーと私には魔法のような力があった。自分たちを別の時代に移送し、一緒に音楽を現代化し、シンギング・デュオとして新しい命を吹き込んだ。でもそれは演技ではなかった。私たちの関係はとてもリアルだった」と綴った。

ガガは、ベネットから音楽とショービズ人生について教えてもらったのは言うまでもないが、“志を高く保ち、分別をもつ”方法も教えてもらったと付け加えた。「“まっすぐ前へ”と彼は言っていた。彼は楽観主義者で、質の高い仕事と質の高い人生を信じていた。それに、感謝の気持ちもあった……トニーはいつも感謝していた。彼は第二次世界大戦に従軍し、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアとともに行進し、世界で最も偉大なシンガーやプレイヤーたちとジャズを歌った。私は長い間トニーを失うことを悲しんできた。私たちの別れはとても長く、力強かった」と彼女は続けている。

ベネットは2016年にアルツハイマー病と診断された後、7月21日に故郷の米ニューヨークで96歳で亡くなった。死因は明かされていない。37歳のガガは、「彼は私の友人だった。偽りのない、真の友人だった。私たちの年齢差は問題ではなかったし、実際それは私たちにほとんどの人とはなかったものを与えてくれた。私たちは人生においてまったく異なる2つのステージにいた。刺激を受けながら。アルツハイマー病でトニーを失ったことは辛かったけれど、とても美しくもあった。記憶をなくしていく時期というのは、その人の人生においてとても神聖な時間だ。傷つきやすく、尊厳を保ちたいという思いがある。私はただ、私がどれほどトニーを愛していたか、そして彼が私の人生にいてくれたことにどれほど感謝していたかを彼に覚えていてほしかった」と書いている。

そして、「でも、それが徐々に消えていくにつれ、彼が人生で最も傷つきやすい瞬間を私とできる限り分かち合ってくれているのだと、私は心の奥底で理解した。自身の性質が深く変化しているときに、私と一緒に歌おうとしてくれたから。私はこの経験を決して忘れないだろう。トニー・ベネットのことも決して忘れないだろう。もし私がこのことについて世の中に何か言えるとしたら、年長者を見くびるな、状況が変わっても置き去りにするな、と言いたい。悲しくなってもじたばたしないで、ただまっすぐに進み続けること。悲しみもその一部だ」と付け加えている。

ガガは2021年8月、米ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージックホールで行われた【One Last Time: An Evening with Tony Bennett and Lady Gaga】公演のヘッドライナーとして友人のそばにいた。幼少期からの音楽的ヒーローとのコラボレーションの夢が、ベネットのアルバム『デュエッツII』収録の「The Lady Is a Tramp」での初デュエットで叶ってから10年後のことだった。ベネットの息子でマネージャーのダニー・ベネットは、ラジオ・シティでのライブを最後に父親がツアーから引退すると発表した。ガガとベネットは、2014年の『チーク・トゥ・チーク』と2021年の『ラブ・フォー・セール』という2枚のジャズ・スタンダード・アルバムもレコーディングしている。

ガガは、もし何か知識を伝授できるとしたら、それは年長者を大切にすることだと結論づけた。「彼らから何か特別なことを学べるはず」と彼女は約束し、「魔法のようなことかもしれない。そして、沈黙に注意を払うこと。私の音楽的パートナーと私の最も有意義な交流のいくつかは、メロディーが全くない状態だった」と投稿を締めくくっている。

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