劇団かもめんたる最新作「S.ストーリーズvol.2」上演記念「S.ストーリーズvol.1」舞台挨拶付き上映会レポ

2022年1月座・高円寺1にて、劇団かもめんたる初のオムニバス作品として上演された、「S.ストーリーズvol.1」、最新作「S.ストーリーズvol.2」上演(2023年8月12日(土)~20日(日)/東京都 座・高円寺1)を記念して、2023年7月31日(月)新宿バルト9にて、シリーズ第一弾である本作の舞台挨拶付き上映会が開催された。
劇団かもめんたるのメンバー、岩崎う大・槙尾ユウスケ・もりももこ・土屋翔・野口詩央に加えて、高畑裕太が参加。

本作は、コントと演劇の良いとこ取りした、岩崎う大の思う最新のおもしろを詰め込んだオムニバス公演。
気持ち悪い話、怖い話、スキャンダラスな話、悲しい話、色々な話が入り乱れ、結果『全部気持ち悪い話だったんだ』となるような、ある意味爽快な公演となった作品である。
8月12日(土)から座・高円寺1にて上演開始する劇団最新作「S.ストーリーズvol.2」はシリーズ第二弾となる。最新作の上演を記念する形で開催した当イベントは劇団かもめんたるにとって2021年12月以来、2回目の上映イベントとなった。

「S.ストーリーズvol.1」について、岩崎は「かもめんたるでコントを、劇団で演劇を手掛けてきましたが、「S.ストーリーズvol.1」を通して、劇団でコントにも意欲的に臨んだ 結果、好評を博し、マギーさんや犬山イヌコさん(ナイロン100°C)に出演したいとおっしゃっていただき、第二弾となる「S.ストーリーズvol.2」の制作に漕ぎ着けることができました。そういう意味では、 「S.ストーリーズvol.1」は、定番シリーズの第一弾になれたのではないか」と振り返った。

かもめんたるのコントと劇団かもめんたるのコントの相違点について聞かれた岩崎は「劇団では、演劇のいいところを兼ね備えたハイブリッドな作品を目指しており、より自由に、無理せず、自然に在るボケを、ブドウのようなボケを、ヒトデのようなボケを収穫し、提供していく感じ」と“う大ワールド”全開のワードセンスで表現し、会場から笑いが漏れた。

「S.ストーリーズvol.1」について、槙尾は「劇団かもめんたるの長編作品と比べて笑いの要素がより多いように感じたし、個人的には集団コントという要素から、WAGE(コン トグループ)で活動していた頃を思い出すこともった」と振り返った。

また、劇団かもめんたるの長編作品とショートオムニバス作品との違いについて、もりは「衣裳や小道具は毎作品、劇団員が準備、手配するんですが、オムニバス作品は 役が比較的多く、かつ季節が真冬だったため、非常に大変だった」と語り、岩崎も「登場人物が2倍以上で、演出側としても大変だった」と同意する場面があった。

今回の上映イベントは劇団として2回目となるが、高畑は「前回劇団初の上映イベントを客席から観ていたんですが、今回お客様の前に登壇していることがとても嬉しいし、 「S.ストーリーズvol.1」から「奇事故」、「S.ストーリーズvol.2」と毎作品出演するたびに本当に嬉しい」と嬉しいを連呼し、喜びを表現した。

この日MCを務めた劇団員の土屋は、劇団かもめんたる第12回公演「奇事故」(2023年1月上演)から劇団員として新たに加入した野口について、14歳(中2)の頃からかもめんたるの大ファンだったことや、 「S.ストーリーズvol.1」が劇団かもめんたる初出演だったことなど紹介する中で、意外な事実が判明。
舞台挨拶後半、話題の中心は最新作「S.ストーリーズvol.2」へ。

現在「S.ストーリーズvol.2」稽古真っ只中、野口と岩崎は稽古場で口論になることがあるという。野口がピザの耳を残していたことが原因の些細な口論から、役作りに関わる口論まで色々あるようだ。稽古場で繰り広げられる口論について野口は「初出演の時はまだ劇団員ではなくゲスト出演だったこともあり、う大さんは優しく気を遣ってくれて いるように感じたけれど、劇団員として臨んだ「奇事故」からはやや強い口調でダメ出しされることもあり、時に涙をこぼすこともあるけれど、同時にファミリー、劇団の一員に なれたと実感できる瞬間でもあり、バトルできるような関係になって嬉しい」と劇団員としての充実感を語った。

vol.1とvol.2との違いについて岩崎は「本当にステップアップしている実感がある。1回目良かったからそれを追っかけるのではなく、ぶっちぎるつもりで自由に書いたのがい い感じで正しい方向だったのかなと凄く満足している。今回前作より自身が演じている割合は多くなっている」と語り、槙尾は「今回はとても新感覚!特にう大さんメインのコ ントは必見」、土屋は「こんなワード並べてもいいのかというシーンの連続」と呼応した。岩崎は「めちゃくちゃ下ネタ」と照れ笑いを浮かべながら応えた。さらに、新作の特徴の 一つとして、岩崎は「今は変な時代で縛りすぎている社会だから大丈夫じゃなくても、5年後くらいには大丈夫になるルッキズムを表現している。傷つく人はいないと思う。怖い もの見たさ、お化け屋敷感覚で観ていただいて、満足いただけるんじゃないかと思っています」と述べた。

今回初めて劇団公演に出演くださるマギーさんについて、槙尾は「学生時代、ジョビジョバは憧れのグループで、まさかジョビジョバのリーダーであるマギーさんと一緒にコ ントで共演するなんて思いもしなかったから、不思議な感覚」と述べた。同じく初出演される成松修さんについて、岩崎は「喫茶店に入ってきたらちょっと見ちゃうような引力の ある人、面白くなりそうだなって思ったし、実際面白い」と語った。

イベント終盤に差し掛かり、vol.2の見どころについて、高畑は「一つ一つの作品が本当に印象的で、衝撃的で、これ一本でいいんじゃないかというところを5本も6本もやる ので、本当に見たほうがいいと思います!」、もりは「マギーさん、犬山さん、成松さんをはじめゲストの方々が大人の方々が多いので、う大さんの当て書きで、いつもより大人の物語、大人の人間模様が色んな角度からたくさん見られるんじゃないか」、野口は「今回、女だけの世界や男だけの世界も描かれている。う大さんから見た女だけの世界を、大人のお芝居で表現し説得力を持たせるという今までにない作品になっているので見てもらいたい」とそれぞれ熱く語った。

締めの挨拶で岩崎は「色々言ったんですけど、ハードルを下げて見に来てください。散々言ったんですけど、間違えていました。座・高円寺でお待ちしております。どうぞお越しください。ありがとうございました」とボケと感謝の気持ちを述べて、土屋の「なんで最後に弱気になるんですか!ひよんないでくださいよ!」というツッコミがこだまする中、舞台挨拶を締めくくった。

<前回上映会レポ>

劇団かもめんたるとは?
2015年に始動した劇団かもめんたるは、2013年キングオブコント優勝のお笑いコンビ・かもめんたるが、個性豊かな俳優陣を迎えて送るロングコント・演劇団。
かもめんたる・岩崎う大が原作・脚本・演出を務め、オーディションを通じて所属となった劇団員やゲストの俳優とともに演劇世界を開拓する。
演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチには「演劇ファンにこそ観てもらいたい。こうした得体の知れないベクトルのエネルギーで笑いを志す劇団は、近年珍しいのではないか。」と、高く評価される。
第8回公演「GOOD PETS FOR THE GOD」、第9回公演「君とならどんな夕暮れも怖くない」が第64回、65回岸田戯曲賞最終候補に選出される。

次回公演概要
「S.ストーリーズvol.2」
日程・会場:2023年8月12日(土)~20日(日) 座・高円寺1
作・演出
岩崎う大
キャスト
岩崎う大・槙尾ユウスケ(かもめんたる)
もりももこ・土屋翔・野口詩央(以上、劇団かもめんたる)

マギー
成松修
石井亜早実
高畑裕太(ハイワイヤ)
犬山イヌコ(ナイロン100℃)

公式サイト:https://gekikamogekikamo.wixsite.com/home

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