人間椅子、約2年振りの新作『色即是空』のジャケットはみうらじゅんのイラスト! 文字は書道家の宮田天風! アーティスト"寫眞"は170年前の湿板撮影法で撮影!

2021年8月以来、約2年振りとなる通算23枚目のオリジナルアルバム『色即是空』を9月6日にリリースする人間椅子。6月にアルバムタイトルと、曲順は未定であるが13曲の収録楽曲のみが突如として発表されたが、リリースまで約1カ月となった本日、アルバム作品のアートワーク含めた詳細が発表された。 公開された今作のCDジャケットの表紙に用いられたのは、漫画家・イラストレーターとして活躍している、みうらじゅんが描いた重要文化財の仏像“深沙大将”(じんじゃたいしょう)。さらに、アートワークとして公開はされなかったが、裏表紙にも同じくみうらじゅんが描いた“千手観音”が使用されている。その他にも繊細なタッチの仏像のイラストが挿入されているとのこと。 みうらじゅんはかつて、“大島渚”というバンドでボーカルを務めており、人間椅子とは“イカ天”出演バンドの同胞という繋がりがある。そして、アルバムタイトル『色即是空』の文字は、メンバーの和嶋慎治(Vo&Gt)が書道家の宮田天風に依頼して書いてもらったものだという。

CDジャケットと同時に公開された最新のアーティスト写真も秀逸なもの。この写真は撮影後に大きな加工を施したのではなく、東京の日暮里谷中にある湿板寫眞館にて、明治維新の古典撮影方法である湿板撮影法で撮影された。 湿板は世界で2番目に古い170年前の写真技法で、今回撮影した湿板寫眞館はこの技法を復元した数少ない写真館。動くと写真がボケてしまうため、5~10秒間は一切動かずにじっと耐えて撮影したのが今回の写真とのこと。明治期を感じさせる写真の雰囲気と映し出された人間椅子に全く違和感がなく、むしろ人間椅子の世界観をよりリアルに映し出し、伝わってくる貴重な写真と言えるだろう。

公開されたアートワークの秀逸さに驚きと感動、そしてアルバムへの期待感が膨れ上がっていく。今作の1曲目に収録される「さらば世界」は8分を超える壮大な楽曲らしく、「星空の導き」は人間椅子では珍しいアコースティック調のロックバラード曲に仕上がっているという。 さらに、初回限定盤には昨秋開催された全国ツアー『人間椅子2022秋のワンマンツアー~闇に蠢く~』ファイナル公演となるEX THEATER ROPPONGIのライブ映像が7曲収録される。唯一無二の“人間椅子節”が炸裂する新譜を楽しみにしたい。

アルバムコンセプト ─和嶋慎治/人間椅子

感染症で世界が大きく変わってから、三年が経ちました。「以前の生活にまた戻れたらいいね」そんな言葉を口にしながら我々は三年間を過ごしてきたわけですが、以前どころか、ますます現実は厳しくなってきています。

これから、世界はさらに大きく変わろうとしています。いくら鈍感な人でも、日々の生活からそのことは実感できるはずです。世界はどこに向かおうとしているのか。グローバリズム、超管理型社会、おそらくそのようなものでしょう。西側世界においては、そこに追随する多くの人と従わない少数の者とに分かれていくでしょうが──音源制作のコンセプトに、ここまで言う必要はないのかもしれません。音楽自体は、今後も残り続けていくでしょう。しかし、音源発表のあり方、また多くの音楽の主題である恋愛の表現方法についても、変容を迫られている状況にあることを鑑みれば、我々の根幹にかかわることでもありますから、ここに書かざるを得ないと思った次第です。

色即是空、という仏教用語があります。この世のすべてのものには実体がない、という意味です。字面だけを見れば、虚無主義、諦観、とも受け取れる言葉ですが、そもそも仏教とは苦しみからの解脱を目指して発祥したものです。色即是空には、ただの諦めではない、衆生を救う何か一つの鍵、大きな愛のようなものが根底に流れていると感じます。変わりゆく世界を前にして、色即是空の境地に立てれば、我々はこの困難な時代を乗り越えていけるのではないでしょうか。本アルバムでは、力及ばずとも、皆さまとともにそのことを考え、また提示していければと思っています。

試練はまだ始まったばかりです。愛をもって、希望をもって、今日を生き抜いていきたいものです。

我々は今、自分自身を試されているのです。(和嶋慎治/人間椅子)

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