イセ食品、商号変更 「たまご&カンパニー」に 2024年2月、経営刷新アピール

 経営再建中の高岡発祥の鶏卵大手、イセ食品(東京)は1日、来年2月に商号を「たまご&カンパニー」に変更すると発表した。同社は昨年3月に会社更生手続きを申し立てられ、創業者の伊勢彦信氏(94)=高岡市=が経営から離れている。会社は新経営体制に移行しており、伊勢氏の姓にちなむ社名を変更し、経営刷新をアピールする判断をしたとみられる。

 同社によると、イセ食品のグループ会社は9月1日に合併する。存続会社の富士たまご(本店・静岡県富士宮市)は同日付で「たまご&ファーマーズ」に商号を変え、本店を茨城県石岡市とする。

 イセ食品はホームページで商号を変更する予定だと説明し「社員一同、新たな気持ちでより一層業務に邁進(まいしん)する」とした。

 イセ食品を巡っては、昨年3月に伊勢氏の長男である俊太郎氏と、あおぞら銀行(東京)が、会社更生手続きを申し立てた。管財人の弁護士、髙井章光氏らが代表を務め、グループ会社の法的整理も進めている。

 手続きを申し立てた俊太郎氏は元イセ食品社長で、現在はISEホールディングス(東京)の社長を務める。同社は「イセ食品グループとは資本、経営とも完全に独立した別グループ、別組織」と説明しており、イセ食品の経営とは距離を置いている。

 イセ食品は1971(昭和46)年に設立された。2021年まで社長兼会長を務めていた伊勢彦信氏は「債務超過状態ではなく、法的整理は適切ではない」と反対してきた。商号変更について、伊勢氏は「債務の返済は可能で、今でも法的整理は不必要と考えている。伊勢の名前を何としてでも消そうという思いではないか」と述べた。

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