厚木を代表する作家和田傳(つとう)のデビュー100周年を記念した企画展「デビュー100年 和田傳再発見」があつぎ郷土博物館(厚木市下川入)で開かれている。和田は農民の生活をさまざまな作品で描き、農民文学の担い手として著名。同市の名誉市民第1号でもある。企画展では若い頃からの和田を写真や関連資料、著作、書簡などを通じて紹介している。
和田は1900年1月、同市恩名の地主で農家の長男として生まれた。県立厚木中学(現・県立厚木高校)を経て早大に進み、23年に早稲田文学に短編「山の奥へ」が掲載され、作家デビュー。37年には厚木を舞台に、土地に執着する農民の生活を描いた「沃土」が第1回新潮社文芸賞を受賞し、人気作家となった。
企画展では、生家に保存されていた太閤検地に関わる書類や明治期の出納の書類などを展示し、農民の生活に和田が関心を寄せるようになったバックボーンを紹介している。