間違った思い込みをなくす!依存症に対して偏見を持ったり、勘違いをすると症状が悪化する場合も!?【図解 依存症の話】

回復の第一歩は依存症を正しく知ること

依存症についての誤った印象や思い込みは意外に多く、予防や回復の妨げになります。たまに薬物乱用の防止ポスターで、薬物によっ変わり果てた人を描いたものがありますが、実際には依存症患者と見た目でわかるような姿になるのは重症なケースで、ごく「普通」に見える人が依存症ということも珍しくないのです。例えば薬物依存症になると、普通の暮らしに戻れないと思う人もいるでしょう。確かに依存症の完治は難しいものですが、回復して社会復帰することは十分可能です。また、治療を始めたらお酒を完全にやめさせられるのが耐えられないからと、医療機関の受診を避ける人もいます。依存対象によっては、いきなり完全に絶つのは現実的でないものもあり、「依存対象・依存行動を減らして、生じる問題も減らしていく」ことを重視した実現可能なプログラムで治療を進めていきます。また、なかなかやめられないのは脳の仕組みの変化によるものなので、だらしがない、意志が弱いといった性格のせいではありません。

家族や周囲の人の関わり方も回復を大きく左右します。よかれと思ってしたことが逆効果になる場合もあるので、専門家などの助言をもとにした適切な対応が重要です。 自分が依存症にならないためにも、依存症になった誰かを助けるためにも、まずは正しい知識を身につけましょう。

依存症の間違った思い込み!

下記の例は、依存症に対する間違った思い込みや偏見の一部です。このような偏見や勘違いは、症状を悪化させる要因になっています。

依存症から復活するには完全にやめるしかない

完全にやめるかどうかはケースバイケース。アルコールやニコチンのように、薬を併用しながら少しずつ減らすほうが効果的な場合もあります。

入院をしなければ依存症は治らない

強制的に入院させないと回復しないと考えられていた時代もありますが、現代では外来治療が主流となりつつあります。

依存症になるのはだらしなく根性がない人

依存症は性格や意思の弱さにかかわらず、条件が整えば誰でもなる可能性があります。一度陥ると脳の状態が変化し、自分の意思でコントロールが困難に。

依存症患者はみんな廃人である

見た目ではっきりわかるのは、よほど重症のケースでむしろ少数派。学校や会社で普通に挨拶を交わしている人の中にも、依存症患者はいます。

家族が頑張らないと依存症は治らない

孤独にさせないことは重要ですが、家族や周りの人が気合を入れて叱咤激励することが逆効果になる場合も。回復に結び付く適切な接し方を学ぶことが大切です。

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

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【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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