三菱自動車、ASEAN地域を重視したグローバルモデルのピックアップ「トライトン」発表

 三菱自動車がグローバルモデルの新型ピックアップ「トライトン」をタイの首都バンコクで発表した。トライトンは日本市場ではほとんど見かけないが、タイを中心にASEAN地域を重視する三菱自の基幹車種だ。

 三菱自はこれまで45年間に約150カ国で560万台以上のピックアップトラックを販売した。現在、トライトンは三菱自の世界販売(2023年3月期実績83万4000台)の20%近くを占めている。9年ぶりにフルモデルチェンジした新型トライトンは、三菱自の持続的な経営安定を左右する重要車種だ。

 三菱自のピックアップトラックは1978年に発売した「フォルテ」がルーツだ。フォルテから派生した人気モデルが「パジェロ」で、さらにそこから発展したミニバンが「デリカ・スターワゴン」であり、三菱自のルーツ的な存在である。

 東南アジアから順次世界に展開し、日本でも12年ぶりに投入する。世界100カ国以上で年20万台規模の販売を目指す。

 新型は従来モデルよりも大型化したボディ、耐久性と信頼性を極限まで磨いた新開発のラダーフレームを採用し、高出力化と環境性能向上を両立した新開発のエンジンを搭載する。新開発のサスペンションによる良好な乗り心地や優れた操縦安定性、スーパーセレクト4WD-II、バージョンアップしたドライブモードによる高い走行性能を実現した。

 パワーユニットは新開発の4N16型クリーンディーゼルで、用途に応じた3種類の出力の異なる仕様を用意した。高出力仕様のエンジンには新型ターボチャージャーと新燃焼システムを採用し、150kWの最高出力と470 Nmの最大トルクを約1500rpmからフラットに発生し、実用域での応答性に優れたトルクフルな走行が可能になった。標準仕様では最高出力135kW/最大トルク430Nmと、最高出力110 kW /最大トルク330N・mの2仕様のエンジンを設定し、いずれもタービン容量を可変制御するVGターボチャージャーを採用。

 トランスミッションは従来から好評のスポーツモード付き6速オートマチック。シフトレバーをワイヤー式とすることでエンジンから直接伝わる振動を低減して快適性を向上した6速マニュアルを採用した。

 4WDシステムは走行中にダイヤル式のセレクターで簡単に4WDモードを変更することができ、前40%、後60%に駆動力を配分し、トラクション性能とコーナリング性能を両立するトルク感応式LSDを備えた三菱自動車独自のスーパーセレクト4WD-IIと、イージーセレクト4WDを引き続き採用した。

 サスペンションは前ダブルウィッシュボーン式を踏襲し、信頼性と耐久性を重視しながら新開発した。4WD及び2WDのハイライダーのアッパーアーム取り付け部を上方に移動し、ストロークを20㎜増やして接地性・乗り心地を向上したハイマウントタイプを採用した。後サスペンションは強度を維持しながら軽量化したリーフスプリング式を採用。大径化されたショックアブソーバーと共に快適な乗り心地を実現した。(編集担当:吉田恒)

日本でも展開を予定する新型ピックアップトラック「トライトン」、写真は日本導入予定のダブルキャブ仕様

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