水稲収量、アプリで推定 AIが画像を基に分析 岡山大研究グループ

アプリ「HOJO」で水田を撮影している画面(岡山大学提供)

岡山大学などの研究グループは、水稲が植えられている水田の画像から、収量を高精度に推定できるスマートフォン向けのアプリを開発した。さまざまな水田の画像と収量のデータを人工知能(AI)に学習させ、開発した。現状推定できるのは収穫2週間前からで、今後、より早い段階で推定できる技術の開発を目指す。

研究グループは、日本を含む7カ国20地域から、462品種について、約2万2000点の水田画像を収集。これをAIに学習させ、水田の画像だけで収量を推定できるようにした。

この技術を基にした収量推定機能を、作物生育調査アプリ「HOJO」に組み込んだ。農家やJA、行政、研究者など幅広い関係者が利用できる。収穫2週間前以降の水田に入り、真上から、およそ1平方メートルの範囲の株を撮ると、すぐに推定収量が示される。

農家が対策を打つといったことが可能になるよう、より早い段階で推定できる技術の開発も進める。

これまで収量調査は、稲を刈り取って乾燥・調製をして実測する必要があった。AIによって、この工程を迅速化できれば、多収品種の早期選抜など育種の現場でも役立つとする。

研究は国内外の大学など国際的な研究グループで実施した。発展途上国での生産性向上にもつなげたい考え。成果は国際科学誌「プラント・フェノミクス」で発表した。

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