広島平和公園コンペ要項を公開 原爆4年後、第一級の歴史資料

広島市公文書館で公開されている、平和記念公園と原爆資料館の設計コンペの募集要項(左側)と故佐藤重夫・広島大名誉教授の代理人の書簡

 原爆投下から4年後の1949年に広島市が実施した平和記念公園と原爆資料館の設計コンペの募集要項が見つかり、市公文書館で公開されている。建築家としてコンペに応募し、原爆ドームの保存工事の中心を担った故佐藤重夫・広島大名誉教授の遺族が寄贈した。市公文書館は「都市の復興研究分野での活用が期待される第一級の歴史的資料」と評価する。

 募集要項の表紙には原爆ドームのかつてのイラストが描かれ、中には「適当修理の上存置する予定」と記載。共に展示される佐藤氏の代理人の書簡にも、市職員から「爆撃の記念として現状のまま残す」と説明されたとあり、市が当初から原爆ドームを残して平和記念公園を設計する意向があったことがうかがえる。

 コンペでは計145点の応募があり、世界的建築家の故丹下健三氏らの案が選ばれた。

 募集要項は長年所在が分からず、2021年に岡山県内の佐藤氏の遺族宅で見つかった。佐藤氏と原爆ドームに関する資料も展示されており、公開は今月18日まで。

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